今月8日、当欄で「日本の感染者数が少ない理由:新型コロナ(34)」というブログを書いた。同じような内容になってしまうが、いま私が愚考しているのは、日本の潜在的コロナ感染者は数字で示されるよりはるかに多いのではないかということである。
いま東京も大阪も新規感染者数が増えつづけている。東京は今日(21日)の感染者数が843人で、大阪は1242人。すぐに収束する気配はない。メディアに出てくる数字は感染者数であって、分母にあたる検査人数はネットなどで調べないかぎり同時に公表されることは少ない。
検査数が一定でない中での「減った」「増えた」なので、こうした状況での一喜一憂はほとんど意味がないかと思う。東京であれば、検査数は1日多くて1万人超で「しかない」。8日のコラムでも述べたが、アメリカの検査数は日本の10倍以上で、たとえば東京都と比較される大都市ニューヨーク市ではいま、1日13万人から14万人の検査をしている。その中での新規感染者が4659人(20日)という数字で、検査数は過去1週間平均で約14万5000人(ニューヨーク・タイムズ紙)だ。
すでにコロナ禍に突入して1年以上がたつ中、日本はどうしてニューヨークと同じレベルの検査数をこなせる体制を確立していないのか。「していない」というより、単に「してこなかった」だけの話なのではないかとも思ってしまう。もし東京で1日10万人以上の検査を実施していたら、新規感染者は8000人くらいに増える可能性がある。
なぜ日本は検査数を増やさないのだろうか。多くの方は同じことを考えるはずで、1年以上もたっていながら「増やせない」というのは行政の怠慢でしかないだろう。行政側が故意に検査数を抑えているとは思いたくないが、地方自治体だけでなく、日本政府はいち早く全国民に対して無料の検査とワクチン接種を実施しなくてはいけない。