新型コロナウイルスが蔓延し始めてから1年以上がたつが、私がずっと「なぜだろう」と思っていたことがある。それは日本の感染者数が欧米諸国にくらべるとずっと少ないことである。
日本以外の国でもほとんどの人は外出時にマスクを着用し、故意に他人に感染させたりする人などほとんどいないにもかかわらず、対アメリカ比で数字を見ると圧倒的に少ない。世界でもっとも感染者の多いアメリカは4月7日時点で、累計で2975万人以上が感染している。日本は累計で49万超なので、日本の人口がアメリカのおよそ3分の1ということを考慮しても、日本の感染者数はかなり少ない。というより、アメリカが多すぎると言うべきかもしれないが、何がこの差を生むのだろうか。
昨年から医学界で論じられているのは、日本人を含めたアジア人の多くが以前アジアで大流行した SARSやMERSのウイルスに晒されて、抗体をもっているというものだ。 SARSやMERSも新型コロナウイルスと同じ仲間の1本鎖RNAウイルスなので、多くの方がすでに新型コロナに効力を持つ抗体をもっているという説である。それが本当であれば、日本人としては嬉しいことだが、感染者数が少ないことに関連した別の話もある。
またアメリカとの比較で恐縮だが、日本のPCR検査数が圧倒的に少ないことである。アメリカのPCR検査数は4月7日の1日だけでも117万59件に達している。日本(4月5日)は4万1770に過ぎない。人口差を考えてもあまりにも少なすぎる。
7日のアメリカの感染者数は 4万1835人、一方の日本は3451人である。陽性率はアメリカが3.5%で日本は8.2%。日本側の数字は厚労省のオープンデータからで、アメリカ側は非営利団体「コロナウイルス・トラッキング・プロジェクト」という団体のものだ。日本政府が予算と機動力を発揮して1日30万件くらいのPCR検査を実施した場合、感染者数はどれほどになるのか。
日本はワクチンの接種数も悲惨なくらい少ないので、菅氏だけでなく地方自治体のトップには、PCR検査もすべての国民が今後複数回受けられるくらいの計らいを願ってやまない。