先月、香港に行った時、ホテルのそばに三田製麺所がオープンしていた。
開店してまだ数日しかたっておらず、ピカピカの店内には人があふれている。三田製麺所は東京を中心に、20店舗近くもあるつけ麺専門店である。
「香港に来てつけ麺というのもなあ」と思い、店には入らなかった。
だが先日、有楽町店に行くことになった。友人のオランダ人記者が三田製麺所の大ファンで、ポイントカードも持っており、一緒に食べることになったからだ。
本当に久しぶりだった。店内に入っただけでかつおの香りが鼻腔をくすぐる。ねっとりした出汁に太めの麺がからみつき、際限がないほど口の中にはいっていく。
「あぶない、あぶない。これは危ない食べ物だ」
そういうと、オランダ人記者は2年前のことを話してくれた。
「最初食べたときからすっごく気に入って、何度もくるようになったんです。お店の人とも知り合いになったし、ポイントカードも勧めてくれました。でも最近はあまり来なくなりました」
「どうして?」
「最初、つけ麺のスープも全部飲み干していたんです。おいしかったから。ほぼ毎日、ここに来ていたので太りました」
「ハッハッハ」
笑ってしまった。
いまはダイエットがうまくいき、彼は細身の体型を取り戻している。中国人もオランダ人も、もちろん日本人も共有するおいしさはあるのだ。
香港、九龍半島ネイザンロード近くの店舗。