カテゴリー:政治 2010/3/9 火曜日

基地閉鎖のドミノ

アメリカ軍普天間基地の移設先がいまだに決まらない。

鳩山はあちらを立て、こちらも立てるといった姿勢だから苦境に陥っている。与党内からいくつかの選択肢があがっても、首相は相変わらず安全保障戦略を語ろうとしない。

昨年のブログ(「方針」という安全保障 )でも少し述べたが、もっとも大切なことを国民の前で語らないので、単なる移設先のオプションが机上論として空回りしている。

「基地は何のためにあるのか」が鳩山にはわかっていないとしか思えない。その問いこそが普天間問題の核心である。自分で名答を口にだせた時点で、この問題は終わりのはずである。

極論するならば、鳩山が普天間の海兵隊を本当に日本の安全保障に必須であると考えるならば、首相判断で移設して政治力をつかって収拾をはかれる。その時、新しい基地の周辺住民や環境には最大限の配慮、いや優遇措置を施してもいい。むしろ、基地周辺に住みたいと願う人が増えるくらいの優遇策をほどこす。

なぜ基地が必要なのかをテレビの前で、国民を納得させられてこそ国のトップにたつ政治家といえる。だから鳩山は、現在の米軍(海兵隊)の必要性を説かなければいけない。もし日米同盟のあり方や、朝鮮半島の有事は依然としてあり得るという内容を連日熱く語っていたら、移転先の選択などは最重要なテーマではなくなってくる。

ただ、鳩山の本音が「できれば米軍基地は全部撤去したい」ということは私にもわかる。

それでもいいだろう。半年でそれを実現することはできないが、中期的に自衛隊の再配備と増強を念頭にして、基地撤去の方向で動くことは可能だ。アメリカと新たな軋轢が生まれるが、できない話ではない。

1991年、フィリピンはスービック、クラーク両基地を必要なしと判断して撤去させたし、昨年は中米のエクアドルがアメリカ軍マンタ基地を撤去させている。

いまペンタゴンが恐れているのが、世界各地でおきる「基地閉鎖のドミノ」という新しい波である。いずれ日本にもそうした状況が訪れることを憂慮しているはずである。

しかも、アメリカ政府は今でも鳩山の考え方を理解できずにいるようだ。反米でも保守でもない元自民党にいた政治家の日米関係論は不安定である。基地反対を大々的に掲げてもいないし、迅速に問題処理をするわけでもない。

「ないない」づくしの政治家は普天間問題でどういう答えを出すのだろうか。(敬称略)

カテゴリー:国際事情, 経済 2010/3/4 木曜日

猫とアヒルが力をあわせて・・

やはりテレビの力は馬鹿にできない―。

アメリカのある経済誌を読んでいると、保険会社アフラックのCEO、ダニエル・アモスの記事が載っていた。署名は本人になっている。大手企業のCEOが自分で雑誌に執筆することは稀で、ライターが背後にいると考えるべきだが、文章を読む限り、こなれていないので彼が書いた可能性がある。

アフラックはアメリカの保険会社だが、日本のテレビCMに登場するまねきネコとアヒルのキャラクターが人気を集め、高い知名度を得ている。記事の中では日本の4世帯に1軒がアフラックの保険契約者だと書かれている。


                

本当かどうか調べると、確かに保有契約件数は国内で2000万件を超し、長年業界1位だった日本生命を抜いてトップの座についていた。会社本体の売上(08年)の70%以上は日本からである。

アメリカの保険会社がここまで伸びるとは10年前には考えられなかった。保険市場が国外企業にも開放された結果であると同時に、「♪ネコとアヒルが力をあわせてみんなのしあわせを・・・」のテレビCMに力の源泉があると思われる。記事では、CEOのアモスもその点を強調していた。

インターネット時代であってもテレビの力はすさまじい。黙っていても映像が流れでてくる強さはネットにはない。インターネットは世界中をつなぎ、数十億単位のサイトへの選択が可能だが、こちらからアクセスしないかぎり感受できない。

アフラックのアヒルのテレビCMがアメリカで放映されたのは2000年のことである。90年代後半、コマーシャル制作の担当者が「アフラック」という社名が、アヒルの鳴き声(英語)「クワック」に似ていたことから、アヒルをCMに登場させるアイデアを発案した。

以来、いくつものバージョンを制作したが、いずれもアヒルを登場させ、徐々にネームバリューが広がっていった。初年度は、100人中27人しかアフラックという名前を覚えていなかったが、2年後にはその数字は67人になった。

いまでは90%以上の人がアフラックという社名を知っている。アモスは記事の中で6500万ドル(約58億5000万円)を(広告宣伝費に)割いていると書いている。

もちろんネコが登場するのは日本のCMだけで、アモスはいまネコとアヒルのコンビをアメリカにも使おうとしている。(敬称略)

カテゴリー:アメリカ社会 2010/2/27 土曜日

政治ショーにかり出された豊田

トヨタ自動車社長がワシントンの連邦議会の公聴会に現れた。CNNの映像を観ながら「相変わらずだな」と思っていた。

何が「相変わらず」なのか。

公聴会そのもののあり方である。社長の豊田が証言するということで報道関係者の数はすさまじかった。議員たちの出席率も高かった。それが活気のない普段の下院公聴会と違うところだったが、議員たちの立ち振る舞いと公聴会の流れは相変わらずだった。

1983年末に初めて議会を訪れてから1年弱、私は日本の新聞社のインターンとして毎日連邦議会に通った。90年にジャーナリストとして独立後は記者証をとり、2007年春に帰国するまで議会はつねに取材の場だった。

公聴会というのは大きく4つに分かれている。立法、調査、承認、監視で、そのほかにフィールド公聴会という連邦議会以外の場所で開かれるものがある。

立法公聴会はもっとも公聴会らしいもので、法案を作成する過程で参考人から話を聴く場だ。調査公聴会は、ウォーターゲート事件などを徹底解明するような会である。承認公聴会は大統領がくだした人事を承認するのが目的だ。オバマがヒラリー・クリントンを国務長官に指名し、それを公聴会で承認する時に招集される。

最後が監視公聴会で、豊田が証言した下院の監視・政府改革委員会(House Oversight and Government Reform Committee)などは、諸事の案件の現状を公に聴くことが目的だ。

普段の公聴会では、議員たちは質問するときにだけ姿を見せて2つ、3つ、質問してすぐに退席する。だから、檀上に委員長と質問する議員の二人だけということも珍しくない。しかも入退室は自由なため、議員もスタッフも出入りが激しい。質問もスタッフが考えて、それを読むことが多い。

議員の豊田への質問は、豊田の稚拙な受け答えもあって、過激さが増した。あの過激な議員の態度こそが私にしてみると「相変わらず」なのである。

今年11月は中間選挙である。下院議員は全員改選。彼らの言動は選挙を前にした地元有権者へのパフォーマンスとして考えておく必要がある。

CNNが監視・政府改革委員会の公聴会を生中継することなど数年に1度もない。議員として、これ以上のチャンスはない。それはまさしく政治ショーであり、そこに豊田が乗り込み、火にあぶられたとみた方がいい。

オハイオ州選出のデニス・クシニッチなどは、アメリカのビッグ3の労働者を擁護する立場にあるため、豊田への激しい糾弾がめだった。こうした状況を日本の大手メディアは説明しなくてはいけない。「政治ショー」なのだと。(敬称略) 

         

カテゴリー:Thought for the day, 国際事情 2010/2/23 火曜日

バンクーバーの陰

連日、バンクーバーからオリンピックの話題が届けられているが、テレビや新聞を眺める限り、日本人選手の参加している競技にしか光があたっていない。

NHKのBSを観ればカナダとアメリカのアイスホッケーの試合も観戦できるが、「かなり好き」というレベルでないと、そこまで手が回らない。オリンピックというのは自国の選手を応援する国別対抗戦だから無理もない。

だが、主要メディアによって選ばれた映像だけでなく、情報も伝わらないので、「一部だけしか見せないよ」と言われている気がする。それによって、陰の部分が見えなくなっている。

たとえば、カーリングはチーム青森が奮闘していることから、女子の競技だと思っている人がいるが、もちろん男子もある。日本の男子チームが出ていないだけである。

逆にアイスホッケーは男子だけだと思われているが、女子アイスホッケーも1988年からオリンピック種目になっている。テレビも新聞もほとんど報じないので、知らないだけである。

その中で、いまだに男子だけの競技がある。スキーのジャンプである。男子だけでもいいと思われるかもしれないが、実は女子のジャンパーも大勢いる。

しかも女子ジャンプをオリンピック競技に入れるための訴訟まで起きている。私は当然、女子ジャンプもあっていいと思う。危険という理由はまったく当たらない。男子でも危険であり、女子でもすでに飛んでいる選手がいるので否定する理由がない。

バンクーバーから競技種目に入れる動きがあったが、国際五輪委員会(IOC)は拒否しつづけてきた。けれども2014年のソチから加わる可能性がある。

すでに欧米にはメダルを狙う女子ジャンパーがいるので、日本のキッズも今から鍛練してどんどん空を舞うといい。

       

カテゴリー:中南米 2010/2/19 金曜日

清冽!

       travela-038.JPG

滝をみたくなったので、昨年撮った写真を貼りつけます。

南米イグアスの滝。 

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