トランプの異常性

これを異常性と呼ばずして何と言ったらいいのだろうか。

今月16日にフィンランドのヘルシンキで米露首脳会談が行われた。そこでトランプはプーチンに2016年のアメリカ大統領選の介入の真偽をあらためて問いただした。

プーチンの答えはもちろん「ノー」だった。トランプはプーチンが「ノー」と断言している以上、ロシア政府は介入していないとしてプーチン側に身を寄せてしまった。

すぐにトランプ政権内だけでなく、連邦議会の共和・民主両党議員、さらにCIAを含む情報機関から非難の声があがった。「大統領は自国の情報機関の結論を無視して敵国の側についた」という、当然と思える反応である。メディアもトランプを責め立てた。

ワシントンに戻ったトランプはすぐに「言い間違いをした」と弁明。やはりアメリカの情報機関の結論の方が正しかったと認めたのだ。

だが話はまだ終わらない。日本時間の今日(23日)午前7時半になって、トランプはツイートで「オバマはどうして(大統領選中に)われわれの選対に(ロシアからの介入があったことを)言わなかったのだ。つまり(介入そのものが)作り話だからだ」と書いて、再びロシアの介入を否定してみせた。

私はレーガン政権時代の1982年にワシントンに渡り、以来ずっと大統領の言動を見てきたが、ここまで短期間で自分の立場を何度も変えた大統領はいなかった。

この意味において、トランプは大統領としての異常性を抱えていると述べていいかと思う。(敬称略)

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明日の放送メディア出演予定:

 

・7月23日(月)9:00amから 文化放送AMラジオ(出演は11:00am過ぎから) 『くにまるジャパン 極 

 

トランプのプーチンへのラブコールが目立っている。先週月曜(16日)の米露首脳会談でもプーチンの肩を持つ発言をしてアメリカ国内から反発を買い、すぐに発言を否定してみせた。

トランプはプーチンに対して歴代大統領とは違う態度をとり、ロシアの「全体主義的資本主義」への羨望を抱いているかにさえみえる。明日はそのあたりのことにも触れられたらと思っている。(敬称略)

中間選挙を斬る(2)

「中間選挙を斬る」シリーズの第2回目である。第1回目(7月2日)の最後に「なぜ与党は中間選挙で勝てないのか」と書いた。今回はその点について記したい。

アメリカ連邦議会の現在の与党はトランプの政党である共和党である。11月6日の選挙で、私の読みでは特に下院(定数435)において民主党が過半数を奪う。つまり共和党は負ける可能性が高いということだ。

いくつかの理由がある。今回は最大の理由を述べたい。このシリーズは11月まで続けるつもりなので、今後はマニアックになっていく予定なのでお付き合いいただきたい。

野党(民主党)が勝つ理由のカギは投票率にある。中間選挙は大統領選と違い、投票率が40%に満たないことが多い。大統領選では60%前後あるので大きな違いがある。

いつの時代でも、有権者は中間選挙にシラケ気味だ。大統領を選ぶわけではないので、投票所にいく人が少ない。特にいまでもトランプを支持し、現在の経済状況に大きな不満をもたない共和党支持者は「このままでいい」と考えて投票に行かない傾向がある。

一方、反トランプ派の有権者は、現在の共和党優位の議会の状況だけでも変えようと思って投票にいくため、現政権への反対票として民主党議員に一票を入れることになるのだ。

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上の写真はオハイオ州コロンバス市の投票所で、2014年中間選挙を取材した時のものだ。オハイオ州といえば、共和・民主が拮抗する激戦州であるが、シラケていた。

「盛り下がり」がすごくて町をゆく人は、まるで中間選挙が行われていないかのごとくで、取材をしていてこれほど熱が入らないことも珍しかった。同年の投票率は36.4%。

この年も与党(オバマの民主党)が負けた。(敬称略)

Media appearance

今日の放送メディア出演予定:

 

・7月18日(水)10:25amから テレビ朝日『ワイド!スクランブル

 

今日の出演は過去の映像に、昨晩電話で話をした内容がコラージュされたものです。

ロシア疑惑が新たな展開を見せています。トランプはプーチンとのヘルシンキ会談で、ロシア政府の大統領選関与を否定しましたが、翌日になって「関与はあった」との言い分に変えました。

さらにロシア人のマリア・ブティナという女が16日、スパイ容疑で司法省に逮捕されました。ブティナは2016年大統領選に合わせて、共和党候補(トランプ)に有利になるような工作をしていた疑いがあります。少なくとも外国政府の代理人は司法省に登録しなくてはいけませんが、女は無登録でした。(敬称略)

死刑が消える世界

オウム真理教の麻原彰晃元死刑囚ら7人の死刑が執行された翌週、米アリゾナ州で1人の死刑囚が処刑される予定だった。

「予定だった」と記したのは、スコット・レイモンド・ドジィエ死刑囚(47:以下ドジィエ)は死刑執行を免れたからである。

日本とは違い、本人だけでなくメディアにも7月11日の死刑執行日が事前に告げられていたが、突然11月に延期された。

ドジィエにいったい何があったのか。本件を追いながら、日米の死刑制度の違いや米国の現状を探る(続きは・・・死刑が消える世界、米国もボランティアだけに)。