1企業vs1国家:太陽光発電

8月下旬、一つのニュースがアメリカ財界を駆け抜けた。

ソリンドラ社というカリフォルニア州フレモント市に本社を置く大手太陽電池メーカーが、事実上倒産(連邦破産法第11条申請)したのだ。日本経済新聞も企業面で掲載していたが、日本では馴染みの薄い企業であるため大きなニュースになっていない。

なぜここでソリンドラを取り上げるのか。需要が高まっている再生可能エネルギー分野の一翼を成す企業であり、収益も伸び続けていたにもかかわらず失敗したためだ。

09年の売上は約1億ドル、昨年は1億4000万ドルを記録していたにもかかわらず、破綻の憂き目にあった。昨年5月にはオバマ大統領がわざわざ本社のあるフレモントまで足を運び、アメリカ・エネルギー業界の将来を代表する企業としてソリンドラを持ち上げていた、、、、(続きは堀田佳男公式メールマガジン『これだけは知っておきたいアメリカのビジネス事情』)。

  

                                                by the White House

ファミリー経営の新しい力

景気の回復が遅れている。それだけに同業他社の動きは気になるものである。相手の業績が伸びていたらなおさらだ。

百貨店業界は日米両国で低迷が著しく、日本では昨年まで14年連続で売上高が減少した。業界の下り坂傾向は深刻だ。大手であっても店舗の閉店を余儀なくされている。日本百貨店協会によると、加盟店舗数はすでに300を大きく下回って250ほどになった(ちなみに百貨店の定義は東京では売場面積が3000平方メートル以上)。

アメリカの大手百貨店も売上は減少傾向にあるが、ある百貨店だけは増収・増益を続け、飛躍的に店舗数を拡大させている。同社のオンライン・ショッピングも伸びている。シアトルに本社を置く創業110年目のノードストロームである。昨年の売上は前年比12%増の9700億ドル(約7500億円)。2000年からだけでも新店舗を43店もオープンさせ、今年7月現在、店舗数は116に達した。

ビジネス誌『フォーチュン』がアメリカの全企業を対象にした「働きたい企業100社」でも毎年ランクインし、昨年は53位。07年は24位にランクされた優良企業である。何が同社に好況をもたらせているのか(続きは堀田佳男公式メールマガジン『これだけは知っておきたいアメリカのビジネス事情』)。

       

企業の統合・分割の真の狙い

企業活動というのは実に面白い。今週だけでも企業統合と分割の両ニュースが世界を騒がせた。

最初は統合ニュースである。4日、日本経済新聞は日立と三菱重工が原子力事業を含むインフラ事業で「統合へ」とスクープした。だが、両社はいまだ最終合意に至っておらず、ウラが取れていないフライング報道だった。特に三菱側が否定したため誤報と言えるが、交渉はまだ途上である。

他方、分割のニュースもあった。日本では大きな報道になっていないが、アメリカ食品大手のクラフト・フーズが4日、北米食品事業とグローバル・スナック事業とを分離し、別会社にすると発表した。こちらはCEOのアイリーン・ローゼンフェルド氏が会見で分社化を明言した。

ここで問題にしたいのは報道の正確性ではない。統合・分割によるシナジー効果(相乗効果)や背景にある企業戦略である。日本の2社の場合、東日本大震災後の日本の産業力復活を狙い、さらに国際競争力を高めることが延長戦上にある。国内ではますます競合他社が限定的な市場を奪い合う環境にあるが、統合によって過当競争を回避して世界市場に力をシフトする意味合いがある。もちろん両社は増収・増益を見込んでいる。

それではクラフト・フーズの分割化にはどういった背景が隠されているのか、、、、(続きは堀田佳男公式メールマガジン『これだけは知っておきたいアメリカのビジネス事情』)。

企業全体がマーケティングのエンジン

新しいマーケティングの手法がいたる所で試されている。しかもその変転は早く、英語でいう「カッティング・エッジ(Cutting Edge・最先端)」の手法が毎日のように生み出され、マーケティングの定義が再構築されているといっても過言ではない。

マーケティングのプロでさえ、成功を導きだすための「正解はない」と述べているほどマーケティングの世界は時代と共に進化している。同時に、最先端の手法はいくつかの方向に伸びているのが特徴的だ。

その中で注目に値する手法は、企業全体を「マーケティングのエンジン」と見なす考え方だ。これまでマーケティングの職務は、マーケティング部門だけに任せる傾向が強く見られた。しかし今後は、企業全体でその責任を負うという姿勢が興隆してきている。

企業人にとってマーケティングというのは、狭義では広告・宣伝、販売促進活動などを指すことが多い。広義としては、商品企画から製造、流通、営業、顧客管理まで企業活動のほとんどをマーケティングと捉える流れがあり、そこに最新トレンドを見ることができる、、、、(続きは堀田佳男公式メールマガジン『これだけは知っておきたいアメリカのビジネス事情』)。

MBAが企業を悪くさせる?!

MBAが増えすぎたことで経営が悪化する―。

経営のプロを養成するビジネススクール。MBAの功罪は長年広く議論されているが、アメリカ財界の一部で今、MBAの存在意義に疑問が投げかけられている。

その理由の1つがアメリカ製造業の競争力低下にある。MBAの資格を持つ経営者が大企業のトップに君臨しはじめたことが起因しているとの仮説がある。ゼネラル・モーターズ(GM)のロバート・ルッツ前副会長の最新刊『クルマ屋VS経理屋:ビジネス魂を求める戦い(仮題)』では、MBA経営者が増えすぎたことがアメリカのモノ作りの力の低下につながったと指摘している。

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          デトロイトのGM本社ビル

1年ほど前、本コラムの「サンプル」でアメリカ製造業の衰興について記した。同業界はすでに衰退したと思われがちだが、実は生産高は今も上昇し続けている。モノ作りの内側に変化が生じているだけである。

ただ財務諸表を気にする傾向が強いMBA出身の経営者たちは、コスト削減に重きを置くことで製造を軽視しつづけてきた一面があり、それがビッグ3の衰退につながったと説いている。

実はルッツ氏自身、カリフォルニア州立大学バークレー校でMBAを取得しているが、MBAが企業経営の万能な力を持っているわけではなく、すべての業界で秀逸であるというのは幻想に過ぎないと主張している、、、、(続きは堀田佳男公式メールマガジン『これだけは知っておきたいアメリカのビジネス事情』)。