真の顧客サービスをアメリカに輸出する

アメリカがどう転んでも日本に敵わないことの一つがサービスの質である。中国が総体として日本経済を凌駕しても、中国人も日本の高品質サービスには舌を巻く。米中両国はヒトコトで言えば「大陸文化のせい」で細部に気が回らないと断言することもできるが、それは早計な結論だろう。

日本の「かゆいところにまで手が届く」サービスは、ある意味で日本が生み出した特異な分野であり、社会学の分野に話を進めていかないと説明がつかない。繊細さを追求する国民性というだけで日本のサービス産業の先端部分は明確化されない。

実はサービスという言葉も「サービス第一主義」という経営学上の実践もアメリカが発祥である。20世紀初頭、フォード自動車が「サービス第一主義」を掲げて、顧客の要望に応えるという経営指針を打ち出した。だが、それは現在の日本企業の多くが実践している顧客に合わせた迅速な便宜供与とは本質的に異なる、、、、(続きは堀田佳男公式メールマガジン『これだけは知っておきたいアメリカのビジネス事情』)。

企業が失敗する一例

経営の難しさの一つは、幾筋もの光が予想以外の方向から差し込むことである。

その時に問題が回避できたり、うまく対処できれば大きな痛手は被らないが、経営陣はすべてのビジネス環境の変化に対応できるわけではない。成功している世界の企業からその秘訣を探ることは重要だが、同時に失敗例から学ぶことも重要である。

今回、取り上げる企業はフランスの総合小売業カルフールである。業界では世界最大のウォルマートに次ぐ第2位(売上)で、世界で最初にスーパーマーケットと百貨店を結合させたハイパーマーケットという業態を導入した企業でもある。

その社史をみると、成功と失敗(撤退)の繰り返しで、ある意味で一般企業の足跡と変わらない。本国フランスやスペイン、ポーランド、イタリアなどのヨーロッパ市場での成功がブラジル、アルゼンチン、中国、インドネシアなどでの成功を呼び寄せている、、、、(続きは堀田佳男公式メールマガジン『これだけは知っておきたいアメリカのビジネス事情』)。

2派に分かれる世界のビジネス潮流

「アメリカの時代は終わった」という発言を耳にすることがある。私に言わせれば、それはアメリカに対する無知をさらけ出している言い分であるかと思う。過去30年、アメリカにかかわり続けているため、その言葉がいかに説得力がないものであるか、多くの分野で証明できる。最近では「中国の終わり」という切り口さえ登場しているが、それも一側面に過ぎない。

両表現は的確さを欠いているが「特定分野に限っては」という前置きをつけると、少しばかりの説得力を持ってくる。たとえば、中国南部広東省の新塘(シンタン)は「ジーンズの村」として世界のアパレル関係者にその名が知られている。

だが、いま存続の危機に立たされている、、、、(続きは堀田佳男公式メールマガジン『これだけは知っておきたいアメリカのビジネス事情』)。

イーストマン・コダックは破綻するのか

特定分野で業界をリードしてきた企業が、時代の流れに逆らえなくなった時、CEOはいったいどう対処したらいいのか。

どの経営学の教科書にも明確な答えは載っていない。業界によって状況は違い、もちろん企業によって対処法が異なる。たとえば写真フィルムのメーカーは、デジタルカメラ全盛の時代を迎えて、どういった経営術を駆使しているのか。

写真フィルム事業は世界市場を眺めると、アメリカのイーストマン・コダック社が絶えずシェアでリードしてきた。富士フィルムは国内では約7割をしめるが、世界では約35%にとどまる。

          

     

                               

けれども、業界の問題はシェア争いではない。写真フィルムそのものが「要らない」時代になり、減収減益は深刻である。今年10月、イーストマン・コダックは破産法専門の弁護士や企業再建のアドバイザーと企業の将来を見据えた議論を行っている。事態はそれほど深刻なのである、、、、(続きは堀田佳男公式メールマガジン『これだけは知っておきたいアメリカのビジネス事情』)。

新国家主義への道筋

「もしかすると資本主義は機能しないかもしれない」

この仮説を耳にしたのは今春、ハーバード大学経営大学院の教授と会った時のことである。

仮説の段階に過ぎないが、世界の経済・金融情勢を眺めると仮説を十分に実証できるほどの危機感を携えている。話の後半、「資本主義危機論」は教授一人の考えではなく、世界中の政治家や企業家、学者の多くが共有する憂慮であることを知った。

すでに資本主義は機能不全を起こして、世界各地でその症状が出ていると理解して間違いない。しかし学究的な論考が積み重ねられるのはこれからである。
 
そんな時、『ハーバード・ビジネス・レビュー』誌が9月号で「世界資本主義の危機:どう対処するのか」という特集記事を組んだ。ハーバード・ビジネス・スクールにいる3教授による共著で、内容はまさに私が小さな衝撃を受けた資本主義危機論だった、、、、(続きは堀田佳男公式メールマガジン『これだけは知っておきたいアメリカのビジネス事情』)。