ネット時代に逆らうビジネスモデル

いつの時代にも流行に逆らう者がいる。

テキサス州ダラスに本社を置くオーダーメイドのシャツメーカー「J.ヒルバーン」社は今の時代にあっても、オンライン販売どころか店舗展開すらしていない。しかし不況下の今、飛ぶ鳥を落とす勢いで急成長している。

歴史ある老舗がネットビジネスに逆らっているわけではない。創業は2008年。起業者はウォールストリートの金融業界にいたビジネスマン二人だ。ネットに疎いどころか、ネット時代だからこそ人との直接的な触れ合いを大切にするビジネスモデル
を確立した。

顧客だけの特注品を仕立て、それを大量販売へと結びつけようとしている。創業者の一人ヒル・デイビス氏は、創業前、2万円以上する他社のオーダーメイド・シャツを愛用していた。それを知っていた妻が、男性用のオーダーメイド製品を手頃な価
格で提供するビジネスに着目した、、、、、、、、、(続きは堀田佳男公式メールマガジン『これだけは知っておきたいアメリカのビジネス事情』)。

ワザあり:小売業界のこれから

先日、講演の依頼を受けてアメリカの最新ビジネス事情についての話をした。聴衆は東京商工会議所の商業部会に所属する大手企業のCEOや会長である。

講演前、ある大手デパートのトップと話をする時間があった。最近の景気を訊ねると「ひどいものです」と首を大きく振る。黒字を計上していても、多くの企業トップは大きな業績の伸びがない限り、謙そんして「ダメです」と言いがちである。だが、実際の売上概況は確かに低迷していた。「ひどい」という言葉はウソではない。

全国の主要デパートの10月の売上は前年同月比でプラスだったが、9月までは31カ月連続でマイナス成長を記録していた。10月は32カ月ぶりにプラスに転じただけで、伸び率はたった0.6%に過ぎない。

デパートの売上の40%以上はアパレルである。近年、ユニクロを始めとするファストファッションに食われ続け、デパートで衣類を買う人は減っている。アパレル業界は過去2年、岐路に立たされてきた、、、、、、、、、(続きは堀田佳男公式メールマガジン『これだけは知っておきたいアメリカのビジネス事情』)。

失墜するのか、ジャパン

テレビや新聞は今起きていることに関心を向ける。メディアの性格上いたしかたない。それだけに見逃されている重大な危機がある。

その一つが日本の国債のデフォルト(債務不履行)へのカウントダウンである。

私が指摘しなくとも、すでに内外の経済学者やエコノミストが口にしている。けれども一般国民や日々の諸事を追っているメディアの多くがその危機を実感していない。

これは日本が第二のギリシャになりかねないということであり、自分の銀行預金からキャッシュを引き出せなくなるという危機である。私の周囲にいる東京の外国人特派員や諸外国の財務担当者は本当に危惧していて、「日本から逃げた方がいいな」という冗談ともいえない話を真剣に交わしている。

今月も、FT(フィナンシャル・タイムズ)のヘニー・センダーが「日本はバブルから20年、最悪の金融事態を迎えるか?」というコラムを書いた。内容は格段に新しい事実を述べているものではない。このまま日本が財政赤字を放置したら、本当に大変なことになるということを淡々と語っているだけだ。

国の借金はすでにGDPの200%に達しようとしている。一般会計予算(2010年度)92兆円のうち、実に44兆円を国債で賄っている。その蓄積が900兆円という借金に膨れている。全国の銀行は資産の約65%を国債で持っており、国債が暴落した時は日本は麻痺する。

国債の多くは日本人がもっているから安心という話はもう過去の話である。1400兆円の金融資産があるから大丈夫という話も、2014年には借金がGDPの300%に達するという見方で打ち消されてしまう。

そうなると、国債デフォルトに陥って預金封鎖、極度の円安、ハイパーインフレという事態に陥らないとも限らない。当然、日本の金融機関が抱える65兆円といわれるアメリカの国債は売りに出されることとなり、日本だけでなく世界的な金融危機を招くことになる。

世界では国の借金がGDPの90%を超えた時点で、経済活動は鈍化するといわれている。日本はすでに2倍以上である。いち早く借金を減らして税収を上げる措置をとらないといけない。

それ以上に、メディアや国民がこの問題を真剣に論じて政府を動かす必要がある。それでないと日本は金融破綻を引き起こす道をただひたすら進むだけとなる。

ルーラル・アウトソーシングという新潮流

ニュー・メイド・イン・アメリカ ―。アメリカのビジネス界にまた新しい動きが生まれている。

アメリカの量販店で「メイド・イン・アメリカ」の品物を探すことは近年、至難の業である。けれども最新のトレンドは、「ニュー・メイド・イン・アメリカ」という流れだ。

アメリカ製造業は過去20年でテレビから野球帽に至るまで、ほとんどの物品の製造を中国をはじめとするアジア諸国等に任せてきた。アウトソーシングという言葉が流行ったのはもう20年も前のことだ。

リーマンショック以来、景気回復が遅れているアメリカは、アメリカ製を取り戻すために「ルーラル・アウトソーシング」という新語を作り、製造拠点の再移転を探りだしている。アウトソーシングに「地方の」という意味のルーラルを付けることで、以前からある事業を捉え直し、製造拠点を国外ではなくアメリカの田舎に移転させる動きが加速している、、、、、、、(続きは堀田佳男公式メールマガジン『これだけは知っておきたいアメリカのビジネス事情』)。

ソーシャルメディアの新たな戦略

アメリカのアパレル大手GAP(ギャップ)は10月初旬、20年以上使い続けてきたロゴの変更を発表した。四角いブルー地に白抜きのGAPという文字が浮いたロゴはお馴染みのはずだ。それを黒字に代え、背景をホワイトにするという。

しかしツイッターやフェイスブックなどのSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)の利用者からの反応は不評だった。親近感が持てないという。以前から使われていたロゴの方がいいという意見が大半を占めた。GAPはすぐに一般消費
者の意見に従い、ロゴを元に戻した。

ここまでは既知のニュースである。

ここで問題にしたいのは、SNSの利用術である。2010年秋、世の中は光の速度で流れているかのごとくである。10年前であれば、GAPのロゴ変更の不評が報告書として本社役員に上げられるのは2カ月ほど後だっただろう。

今回、GAPは1週間で新ロゴを却下した。だが今の時代はそれでも遅い。SNSの新たな進化はすでに一歩も二歩も踏み込んだ分析法にまで到達している。GAPが新ロゴを発表する前、最新の市場分析を行っていたら、評判の悪さは発表前に察知していたはずだ。それができなかった、、、、、、、、、(続きは堀田佳男公式メールマガジン『これだけは知っておきたいアメリカのビジネス事情』)。