目力で勝負する時

昨日(6月3日)の朝日新聞夕刊を読んでいると、「なるほど・・・」と思わされる記事にであった。三谷幸喜氏の連載エッセイ「ありふれた生活」で書かれていたマスク生活についての指摘である。

コロナ禍にあって、ほとんどの人が外出時にマスクをつけることで、新しく出会う人ともまずマスク姿で対面する。三谷氏はこうした状況で「一目惚れ」ということが起こるのかと疑問を発するのだ。一目惚れは、往々にして顔から受ける好印象によって相手のことを好きになるが、マスクで鼻の上部から下の部分が隠されていても一目惚れはあるのかということだ。

顏の一部だけしか見えていないと、隠された部分は想像せざるを得ない。「目もとはステキだけれども口は曲がっているかもしれない」という憂慮や「目は私の好みではないけれども、鼻は高いかもしれない」といった思いなどさまざまだ。

いずれにしても判断材料はマスクからでている目の部分になり、おのずとそこに神経が集中するようになる。優しい目もともあるだろうし、ガツンとくるような魅惑的な目もあるだろう。いずれにしてもコロナが続く限り、目力のあるなしによって人は判断されるし、「目は口ほどに物をいう」日々がしばらく続くことになりそうだ。

「10人に1人」対「166人に1人」:新型コロナ(42)

日本を含め、アメリカやヨーロッパ諸国ではいま、日々の新型コロナウイルス感染者数が減少している。何よりである。6月1日の日本全国の新規感染者は2643人で、まだまだ「安心していい」段階ではないが、少なくとも減る方向にある。

日本のワクチン接種率はアメリカなどと比較すると低率だが、最初から感染者の絶対数が少ないばかりか、死亡者数も桁が違っていた。タイトルで記した「10人に1人」というのはアメリカでの感染割合である。

アメリカの現在の人口は約3億3000万。ここまでの感染者は約3300万人なので、おおよそ10人に1人が新型コロナに感染した計算になる。いくらワクチン接種が進んでも、惨憺たる数字であり自慢できるものではない。

次にあげた「166人に1人」というのは日本の感染比率である。約1億2500万の人口で、ここまで約75万人が感染しているので上記の割合になる。これからはワクチン比率をあげていき、できるだけ早くコロナという魔物を駆逐したいものである。

1分で判定できる?:新型コロナ(41)

世界中が新型コロナウイルスに席巻されている日々が続いているが、明るい話題がないこともない。

たとえばシンガポールでは呼気を調べるだけで陽性か陰性かを判定できる新技術テストが、同国政府から暫定承認された。まだ暫定的ということだが、「確実に」判定できるのであれば、世界中の人がより簡便に検査ができるようになる。

シンガポール国立大学(NUS)からスピンオフした新進企業であるブレスホニックス社が開発したもので、息を吹きかけるだけでいいので判定には1分しかかからないという。飲酒運転を調べるときのアルコール検出器に似ており、シンガポール保険科学庁(HSA)が暫定承認した。

検査の正確性が証明されればPCR検査よりも多用されるだろうし、世界中に広まることを願う。

「ワクチン1日100万人」の日米比較:新型コロナ(40)

菅首相がコロナワクチンの接種目標を「1日100万回」と発言したのは5月7日のことである。緊急事態宣言が決まった日の記者会見で、この数字を口にしている。

この100万回という数字がどこから来たかについては、すでにメディアで指摘されているが、私はアメリカのバイデン政権の数字を踏襲したのではないかと考えている。バイデン氏は1日100万回という言い方ではなく「100日で1億回」と述べた。しかも昨年12月8日に発言している。

11月に大統領選があり、当選が決まってから政権人事に着手し、コロナ担当の閣僚と協議して、政権発足後100日で1億人にワクチン接種が可能であると12月8日の記者会見で述べたのだ。多くの市民だけでなく、米メディアも「そんなに容易なことではない」と懐疑的だった。

しかしバイデン政権は「ピース・オブ・ケイク」と言わんばかりに、58日間で1億回を達成してしまう。というのも、アメリカらしい機動力を使って、1日に100万回どころか平均250万回ものワクチン接種に成功するのだ。アメリカではいま、この勢いのまま全市民へのワクチン接種へと動いている。

日本はいま、9月末までに米ファイザー社製とモデルナ社製のワクチン計2億4400万回分が供給されることになったという。あとは政府が動くだけである。アメリカにできて日本にできないことはない。仮に6月からスタートした場合、単純計算では9月中旬までに全国民に1回目のワクチンを打てることになる。

あとは完遂するパッションを持ち続けられるかであるー。

ワクチンは薬局で:新型コロナ(39)

コロナワクチンの接種は日本でも2月中旬から医療関係者に対して行なわれているし、4月12日からは65歳以上の高齢者にも一部地域で行なわれている。だが、皆さんもご承知の通り、諸外国と比較するとワクチン接種のペースは上がっていない。

5月9日時点で、ワクチンを2回済ませた人の割合は0.9%。1回だけの人も2.6%という低率で「この先、大丈夫だろうか」という思いがある。65歳以上のお年寄りが接種を受けるために近所の病院に電話をすると、お話中が続いて予約が入らないという話も耳にする。

厚生労働省はいま全国の地方自治体を通して、接種のためのクーポン券(接種券)を送付している。そして接種できる時期がきてはじめて電話やインターネットで接種の予約を入れるという流れだが、このままでは医療関係者と高齢者以外の接種が回ってくるのはずいぶん先になりそうだ。

つい先日、ニューヨークにいる友人に連絡を入れると、すでに「ファイザーのワクチンを2回接種した」ということだった。ご存知の方もいるだろうが、アメリカでは医療機関だけでなく薬局やスーパー内の医療コーナー等ですでにコロナワクチンの接種が行なわれている。

友人もマンハッタンの薬局に飛び込みで入り、翌日に接種をする予約が取れたと言っていた。アメリカはいまでも感染者数と死亡者数は世界一で、決して誇れたものではないが、このあたりの柔軟性と臨機応変さは日本も見習うべきである。