トランプとサンダーズの勝利:ニューハンプシャー州

ニューハンプシャー州予備選の予測をしたいと思う。

2月9日は同州の予備選がある。日本時間10日正午頃に結果がわかるはずだ。

州内の4割は無党派。共和党ではアイオワ州で2位になったドナルド・トランプが1位通過してくるはずだ。民主党ではやはり2位だったバーニー・サンダーズが勝つと予測する。

大手メディアではほとんどあり得ない予測だが、流れとしては上記2名が勝ち上がってくると思う。

なまトランプ!

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69歳とは思えないエネルギッシュな話しぶりはテレビで観たとおりだった。

米アイオワ州西部の都市カウンセル・ブラフスでの集会に現れたドナルド・トランプ。過去半年以上、毎日のように演説をし、早口でまくし立てているにもかかわらず、声は擦れていないし、いまにも格闘技の試合にでられそうなほどの勢いがある。

言っている内容は、相変わらず独善的で強健的だが、支持者にはそれがたまらないらしい。

倫理的に正しくなくとも、物事を強引にねじ伏せられる力を誇示している。強くなければイスラム国には勝てないという論理だ。

ほとんど熱狂的といえるほどの声援が耳に残った。

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演説が終わったあと、支持者とカメラマンに囲まれてトランプは埋もれた。ただ、集会終了後から20分以上も支持者の帽子やTシャツにサインをしていた姿が印象に残った。

トランプ大統領?

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(photo courtesy of Hollywoodreporter.com)

米大統領選の予備選があと半月で始まる。

いちおう「ライフワーク」と公言しているので、最初の州であるアイオワ州党員集会へ取材に向かう。

共和党候補のドナルド・トランプは年が明けてもほとんどの州で支持率がトップである。ここまでの強さは、ほとんど誰も読めなかった。

私は昨年9月末まで、トランプは年内には失速すると予想していた。10月になって、「彼の強さは一過性のものではない」とわかったが、当初の見立てはハズレた。年末になってもトランプは勝てないと述べる専門家もいたが、そろそろ現実を直視すべきだろう。

組織に属さない身分なので予想が外れても左遷されることはないが、大統領選を追っている者としては恥ずかしい。

トランプが広範な支持を集める理由は前回のブログで書いた通りだ(誰にもとめられないトランプ)。いまでは共和党の代表候補の座を射止める可能性が高いと読む。

秋の選挙戦で民主党の代表候補を破って次期大統領になることも十分にあり得る。そうなるとアメリカだけでなく、世界にとっては米国関係に緊張が生まれ、場合によっては戦争に突き進み兼ねない。

アメリカの良識的な有権者がトランプだけは「危険な候補」と判断することだけを祈りたい。(敬称略)

誰にもとめられないトランプ

アメリカ大統領候補ドナルド・トランプの勢いが止まらない。

15日にネバダ州ラスベガスで行われた共和党候補者による第5回の討論会が終わっても、支持率は落ちるどころか伸びてさえしている。政治評論家だけでなく、共和党の主流派でさえもここまでの躍進は予想していなかった。

討論会では相変わらず抽象的なことしか述べないし、遊説先でのスピーチを聞いていても「イスラム教徒はアメリカに入国させない」、「僕が素晴らしいのはスッゴイ金持ちってこと」など唖然とさせられる話を繰り返している。

アメリカの大統領候補らしからぬ言動でありながら、 共和党有権者の6割はトランプの言説に「賛成か、ある程度は賛成」で、勢いは増すばかりである。

「トランプは危険な候補」という考え方は民主党だけでなく無党派層にもひろがっているが、この勢いを維持したまま予備選を駆け抜けるかもしれない。

17日夜、フジテレビのインターネット・テレビに出演してトランプが共和党の代表候補になる可能性は十分にあると述べた。それがアメリカのイマを冷静に眺めるということだと思う(アメリカのイマ)(トランプの胎動を考える) 。

トランプが支持される理由は4つに集約できると思う。

1 利益団体からカネを受け取らない - スーパーパックと呼ばれる集金目的の政治団体を否定し、自己資産をもちだしている。 利益団体から選挙資金を受け取らないということは、特定組織から政治的な影響を受けていないことを意味する。多くの有権者はその点を好ましいと感じている。

2 ビジネスマンとして成功をおさめた - 4度の破産を経験しているとはいえ、資産約1兆円といわれる財力を築くことは並大抵のことではない。逆に破産を経験しながら今の地位にいるトランプという人物に期待がかけられている。

3 本音をストレートに語る - 長い間、大統領選を追っているが、ここまで自身の本音を「普通に」 口にする候補はいなかった。大統領候補は選挙対策本部の戦略にそって話をすることが当たり前になって久しいが、トランプは直観を頼りにしていると思えるほど本音トークを繰り出している。それが保守派有権者の本音とかさなる。

4  行動力への期待 - 政治家ではないからこそ、言ったことを本当に実行に移せるかもしれないとの期待がある。たとえばパレスチナとイスラエルの中東和平を実現させるために「半年ほしい」と述べている。トランプは交渉のプロだけに、実際に両者を交渉のテーブルにつかせて和平交渉を成功させられるかもしれないとの期待がある。

最初の予備選となるアイオワ州コーカス(党員集会)は来年2月1日。いよいよ大統領選が本格的にスタートする(敬称略)。

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1988年、すでに大統領選出馬を考慮していたトランプ (Photo courtesy of Fusion.net)

アメリカのイマ

アメリカに渡ってさまざまな人に話を聞いていると、政治的な分断がますますはっきりしてきていることが分かる。

「もしトランプが大統領にでもなったら、私はもうこの国にはいたくない」(50代女性)

「トランプなら、口だけの政治家とは違って結果を残してくれると思う」(30代男性)

分断は共和党候補ドナルド・トランプへの思いを語ってもらうとはっきりする。

パリで起きた同時テロ事件後、トランプは市民が銃を携行していれば結果は違ったという主旨の発言をした。銃は規制して減らすのではなく、自由に所持する方が身の安全を守れるという考え方だ。

アメリカとメキシコ国境に万里の長城をつくるというアイデアは、いまでも繰り返しのべている。本気である。

それで確実に身の安全が保障されるのならばいいが、中長期的な因果関係を考慮すると過激な発言とアイデアがいい結果をもたらすとは思えない。

それでもトランプが演説をすると、全米中の会場には2 万超の人たちが集まる。過去30年ほど大統領選を取材しているが、ここまで大衆を動かす候補はいなかったかもしれない。

オバマの時でさえ数千人である。2万人の中には興味本位で会場に足を運ぶ人もいるだろうが、トランプに対する保守層からの期待はいまや一過性のものを通り越して着実という言葉を使えるほどだ。

首都ワシントンのシンクタンクで米政治の専門家と話をした。

「1980年のレーガンを覚えていますか。彼が出馬して選挙キャンペーンを始めた頃、有権者は誰も真剣な候補として捉えなかった。『レーガンって俳優でしょう?』って。ところが当選する。そして大統領としても一応の成功をおさめるわけです。トランプだってわかりません」

トランプのために汗を流すスタッフたちはいま、全米で地道な選挙戦を展開しはじめている。世論調査でも共和党候補の中では依然としてトップ。

アメリカ・・・大丈夫ですかというのが正直な思いである(敬称略)。

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アメリカの定食屋とも言える「シルバーダイナー」での朝食