米中が「戦争準備完了」を表明

トランプ大統領が米時間4日に行った連邦議会での施政方針演説や、中国の李強首相による全国人民代表大会での施政方針演説にメディアの注目が集まっているが、私がそれ以上に関心を寄せているのが、過去数日、米中両政府がともに「戦争準備を完了した」と言及したことである。

米首都ワシントンの中国大使館はXで、「関税戦争であれ、貿易戦争であれ、その他どんな戦争であっても、米国が戦争を望むのであれば、我々は最後まで戦う準備ができている。最後まで戦う」と発言したかと思えば、米国のピート・ヘグセス国防長官はフォックスニュースの番組『 Fox & Friends 』で、「準備万端だ。どういったタイプの戦争でも闘う準備はできている。平和を願う者は戦争に備えなければならない」と述べ、まるですぐにでも米中両国が戦争を始めるかのような響きさえある。

この発端となったのはトランプ氏が中国に対し3日、中国からの輸入品に新たに10%の追加関税を課して計20%にする大統領令に署名したことによる。すると中国は対抗措置として、国防費を7.2%増加させる計画を発表。さらに3月10日から特定の輸入品に10~15%の 相互関税を課すとした。

それによりすぐに両国が戦火を交えるわけではないが、李強首相は5日、立法院での演説で「中国の主権、安全保障、発展の利益を確実に守るため、軍事訓練と戦闘態勢を強化する」と述べた。さらに中国は今週、米国の軍事力に対抗するため、これまでのどの艦船よりも大型で先進的な原子力空母を建造中であることを明らかにした。外野席から眺めると、両国とも「やる気満々」に映る。

ただ両国の軍事予算を眺めると、2025年の米軍事予算は約8950億ドル(約134兆円)であるのに対し、中国は 1兆7800億人民元(約36兆5000億円 )とその差は歴然としており、中国が世界一の軍事力を誇る米国をそう簡単に負かせるとは思えない。

こういう時こそ、力のある第三国がでて行って仲裁に入ることが望ましいのだが、日本政府にその役割は、、、無理か。