トランプが犯した過ち

2月28日にホワイトハウスで行われたトランプ・ゼレンスキー会談が決裂し、大きなニュースになっている。テレビカメラが入った会談だったが、トランプは大声でゼレンスキーに対し、「あなたは私に指示する立場にない」「(あなたは)カード遊びをしている。数百万人の命を賭けている」「一度でも米国に感謝の言葉を述べたことがあるか」と声を荒げた。

トランプはゼレンスキーに対して、「米国への感謝が足りない」という態度でおり、それが会談のいたるところに現れた。ゼレンスキーの方も、どこかの国のようにトランプに対してペコペコと頭を下げて従うという姿勢ではなかったことから、両首脳が熱くなるのは必然とも言えた。

ただ冷静になってウクライナを取り巻く国際関係を眺めたとき、国際法を違反して侵略戦争を仕掛けてきたのは紛れもなくロシアで、トランプはそのことを棚の上にあげて、プーチンの側に寄り添ってゼレンスキー批判を繰り広げた。バイデンとは真逆の立場である。このところロシアとの融和を推進しているトランプにしてみると、ゼレンスキーの態度は「失礼極まりない」ということになってしまう。

ただゼレンスキーのトランプへの態度も褒められたものではない。力関係は歴然としており、米国からの軍事支援が途絶えてしまえば窮地に陥るのは目に見えている。そのリスクを敢えて犯してトランプの痛いところを刺激して怒らせてしまった。政治家であれば、そのあたりはもう少し巧みにこなすべきだった。(敬称略)