伊吹山 

11メートル82センチ。

この数字が何を意味するのか、ご存じの方はいらっしゃるだろうか。山をよく登られる方だったらご存じかもしれない。滋賀県にある伊吹山(いぶきやま)は 昔から雪の多い山として有名で、1927年に11メートル82センチという積雪量の世界記録( ギネス記録 )を樹立した場所なのだ。標高は1377メートルで、それほど高い山ではないが、この年は例外的に多くの雪が降っている。

私は高校時代から山に登り始めたのと同時に 新田次郎氏の山岳小説も読み始めたので、伊吹山のことを知るようになった。12メートル近くも雪が積もるという光景はなかなか想像できないが、凄まじい記録である。ちなみにネットで現在の伊吹山の積雪量を調べると「ゼロ」ということだった。

このところ全国的に大雪のニュースが伝わっている。今月4日には帯広市で12時間で降雪量が120センチという、国内観測史上最大の大雪(時間限定)を記録して話題になった。 ただ降雪量が多いのはやはり山間部で、ニュースにはならないが今年も2メートル超えの積雪を記録しているところは少なくない。

たとえば長野県北安曇郡八方尾根の2月6日の積雪量は5メートル20センチだし、青森県の温泉宿として有名な酸ヶ湯(すかゆ)は6日午前に3メートル 89センチを記録している。また岐阜県大野郡白川村も2メートル59センチという積雪量だ。

メディアはおうおうにして一つの記録に固執しがちで、それを大きく見せようとする傾向がある。私も充分に気をつけなくてはいけないと思っている。

トランプ流の恫喝外交

トランプ政権が発足してからまだ2週間ほどしか経っていないが、すでにトランプ氏らしい横暴さが露見している。昨日、当ブログで記したように(トランプは貿易戦争に突入した?)、 トランプ氏はメキシコ、カナダ、中国の3カ国からの輸入品に高関税を発動する予定だったが、直前になってカナダとメキシコへの関税発動を1カ月間停止すると発表。中国への発動の有無は24時間以内に協議するとした。

トランプ氏が発動直前で「ドタキャン」したのは、「恫喝外交」が功を奏したからだと思っている。トランプ氏は当初からカナダとメキシコに25%という高関税を課せば相手側が折れてくると踏んでいたはずで、思惑通りの展開になったということである。このアプローチは英語で「ハードスタンス (強硬姿勢)」といわれるもので、強くプッシュすれば相手は折れてくることを見越した動きと捉えられる。

そもそもトランプ氏が高関税を課すことにしたのは、隣国から薬物のフェンタニルや不法移民の流入が止まらないからで、それは隣国に多大な責任があると考えていた。メキシコのシェインバウム大統領はトランプ氏との電話会談で、1万人の兵士をすぐに国境に派遣することを約束し、トランプ氏の要請に応えている。バイデン政権の時にそれをしなかったのは、バイデン氏を脅威と感じていなかったからと言わざるを得ない。

またカナダのトルドー首相もトランプ氏との電話会談で、13億カナダドルの国境警備計画を告げただけでなく、フェンタニル対策の責任者を任命することを約束している。結果的にトランプ氏の恫喝外交がいい結果を生んだわけで、トランプ流はこれからも多用されると思ったほうがいい。今週7日に行われる石破・トランプ会談で、いったい何がでてくるのだろうか。

トランプは貿易戦争に突入した?

2月3日付のフィナンシャル・タイムズ一面。トランプ大統領が関税を引き上げたことでインフレ懸念が高まり、同大統領はビジネス界からの反発に直面しているという内容。

記事中に「米国最大の貿易相手国3カ国に高関税を課すことで貿易戦争を開始」というくだりがあり、すでに貿易戦争(Trade war)という言葉が使われている。トランプ氏らしさが政権発足から際立っており、敵対的なアプローチが本格的な戦争を引き起こさないことを祈りたい。

消えたいと思うあなたへ:天声人語

「14歳のとき、ぼくの孤独は極まっていましたー」

こうした書き出しではじまる朝日新聞の天声人語が1月31日に載った。

多くの方は辛い思いや孤独感に苛まれたとき、その場から逃げたいと思ったことがあるはずだ。そうした時に、教科書的なアドバイスは「冷静に状況を分析して、立ち向かえ」「あなたなら乗り越えられるはずだから頑張って」といった前向きなものだろうかと思う。

ところが2日前の天声人語は違った。写真家の齋藤陽道氏の言葉がつづられており、絶えられない状況に追い込まれた時は「逃げてください」というアドバイスがおくられている。というのも、齋藤氏はもともと聴覚に障害があり、同級生に陰口をいわれたり無視されたり、ものを盗まれたりしてきた。「当時のぼくにとって、教室は生き地獄でした」と述懐する。消えたい、死にたいと思うことがよくあったという。

そしてある日、普通校からろう学校へと「逃げた」。それまで避けていた手話を学び、少しずつ未来が開けていったというのだ。ただ昨年、日本では子供の自殺者が過去最多になっており、ひとりひとりの状況を考えると胸が締めつけられるという。生き地獄の状況をよく知る齋藤氏だからこそのアドバイスは優しさに溢れている。

「逃げた先にはきっとあなたを救う未知の言葉がある。勇気をもって、時間をかけて、逃げていってください」