「バイデン氏は来年ホワイトハウスから追い出される可能性あり」

上記の発言をしたのは前大統領のバラク・オバマ氏である。同じ民主党の政治家が「現職が危ない」と黄信号を灯したのだ。オバマ氏は米ウォールストリート・ジャーナル紙の取材に本音を語ったのだが、現時点では現職バイデン大統領と共和党のトランプ氏の支持率はほぼ互角。状況をつぶさに眺めると「両者に勝つチャンスがある」と述べた方が正確だろうかと思う。

ただ、RealClearPoliticsという政治ニュースサイトの世論調査では、現在トランプ氏がバイデン氏を2ポイントリードしており、オバマ氏は「接戦になることはわかっているが」と前置きした上で、トランプ氏が勝つ可能性を指摘し、「この選択肢は民主主義にとってかなり危険だ」と発言。ただ数週間前は、逆にバイデン氏がトランプ氏を数パーセントリードしており、まだまだ両者の戦いは混戦が続くと思われる。

以前から述べているとおり、来年の本選挙が「バイデン対トランプ」になることは今後大きな番狂わせがない限り変わらないが、私が指摘したいのは、民主党レースから外れて独立候補として選挙にとどまっているロバート・ケネディ・ジュニア氏の動向がカギを握るかもしれないということだ。

10月9日に ペンシルべニア州で、「バイデン氏とトランプ氏の好感度はいずれもマイナスの領域に入っている。これは2大政党政治がもたらしたものである。2つの政党からの独立を宣言する」 と述べて、独立候補として大統領選を戦うことにしたケネディ氏。3者が戦った場合の直近の数字をみると(Fox news)、トランプ氏が36%、バイデン氏が31%、そしてケネディ氏は16%で、ケネディ氏に勝つチャンスはほとんどない。

だが レースに残って戦い続けるかぎり、 バイデン氏の票を奪うことになるため、結果的にトランプ氏を勝たせることになりかねない。

過去100年の大統領選を眺めても、第三政党の候補が勝ったことはなく、ケネディ氏は自身の立ち位置を精査して進退を決める必要がある。

日米比較:マンション価格

数日前、ニューヨーク市マンハッタンの家賃が2年ぶりに下落したというニュースがあった。下落率をみると、月々の家賃の中央値(平均ではない)が4095ドル(58万1500円)から4000ドル(56万8000円)に下がっていた。

下がったといっても56万円である。ニュースでは中央値という言葉が使われているだけで、部屋の間取りや広さについての言及はない。東京の一般的なマンションに比べればマンハッタンであってもかなり広いはずだが、それでも56万円という値段はかなりの高額である。

それでは東京の平均的なマンションの家賃はいくらなのか。NHKが発表している数字では、単身者向き(30㎡)の平均が8万8769円、カップル向き(50㎡)が13万6233円、ファミリー向き(70㎡)が20万5923円、そして大型ファミリー向け(70㎡以上)が35万6552円となっており、ニューヨークと比較するとかなり割安感がある。

家賃が高いということは、給与も日本よりは高いことが想像できる。国家間の給与比較をするサイト「Salary Explorer」によると、アメリカ人の平均年収は$94,700(約1344万円)であるのに対し、日本人の平均年収は457万円(9月発表の国税庁の数字)。こうした数字を眺める限り、東京の家賃が70㎡で約20万円であることは十分に納得がいく。

私が2007年にアメリカでの永住をやめて日本に戻る前、首都ワシントンに隣接するバージニア州アーリントン郡のマンションに住んでいた。30年ローンで購入したのだが、月々のマンション管理費が900ドル(約12万8000円)だった。家賃ではなく管理費が12万強というのは異様な高さだと当時思っていた。そこに月々のローンの返済がある。いま考えると、よくやっていたと思う。

一般的に家屋の価格は日本よりもアメリカの方が安いとのイメージがあるが、場所によってはアメリカの方がはるかに高いのである。

紅葉前線

仕事場の横の道、丸の内仲通りにはイチョウの木が並んでいる。「紅葉前線」が北上し、いまがまさに見ごろ。歩道には数えきれないほどの黄色い葉が落ちており、1枚を自分のデスクに持ってきた。

再び、政治とカネ

またしても永田町が政治とカネで揺れている。揺れているといっても大揺れで、当事者にとっては大地震といっても差し支えないだろう。よからぬカネを受領したことで、自分の政治家としてのクビが飛びかねない。

「権力はほしいしカネもほしい」という人間の性(さが)が政界に渦巻いていることは誰しもが知る。国家の政治を任されている人間としては、そこでブレーキをかけてしかるべきなのだが、「あの人も貰っているので俺も、、、」という論理からか、自分だけブレーキをかけて流れを止めようとはしない。

もちろん政治とカネの問題はなにも今に始まったわけではない。連綿と続ている。私がアメリカから日本に戻ってきてすぐの2007年夏にも同じようなことがあった。当時の安倍内閣(第一次)の閣僚がカネの問題や失言でつぎつぎと辞任し、同年夏の参院選で自民党は大敗。その後、安倍氏は健康問題もあり辞任したが、あれから16年がたった今でも政治家の金銭への執着と醜行はほとんど変わっていない。

それではアメリカの政治家はカネの問題をクリアしているのか。そんなことはない。

アメリカでは選挙運動をする時、200ドル以上の献金を受けた時は連邦選挙委員会(FEC)に報告しなくてはいけないが、いくつもの法律の抜け穴をつかって巨額の選挙資金を集金している。それは非公開であるためシークレットマネーと呼ばれ、2022年の中間選挙では2億9500万ドル(約429億円)もの巨費が闇の中で集金されたことがわかっている。こうした闇のカネが選挙や政治家に流れ込みつづける限り、民主主義は脆弱なままだ。特定の利益団体や企業、個人がアンダーグラウンドで強い力をもってはいけない。

一般有権者の声が何よりも優先されるべきなのだが、時代を経ても同じ過ちが繰り返されるのは、人間がいつの時代でも完璧ではないからなのだろうか。