武器商人になるな!

日本政府は22日、これまで自らに規制をかけてきた殺傷兵器の禁輸を解き、米軍の在庫を補充するかたちで輸出を解禁することに決めた。輸出されるのは地対空ミサイル「パトリオット」。これまでは武器の部品だけは輸出できたが、今後は「完成品」を輸出することになる。

戦後一貫して、日本は他国に完成品としての武器を輸出することを控えてきた。だが今回、運用指針改定とパトリオット輸出を国家安全保障会議(NSC)で決定したことで、日本で作った武器を他国に輸出できる運びとなった。

第二次大戦で負けて以来、日本は戦争の悲惨さや残虐性を考慮して、戦争に加担することになる武器の輸出だけは抑止しなくてはいけないとの思いが国民だけでなく政府内にもあったかと思う。ところが今回、その貴重な武器禁輸の掟を破り、米軍の在庫補充は日本の安全保障に貢献することになるとの立場をとった。

これまで日本は武器輸出目的を「救難、輸送、警戒、監視、掃海」に限定することで、パトリオットなどの殺傷兵器の輸出は認めてこなかった。使用はとりも直さず「人を殺傷する」ことに直結するため、今後はしばらく論議を呼びそうだ。

歴史を振り返ると、規制というのは多くの場合、今回のように少しずつタガが緩んで締まりがなくなり、解放という状態へとつながっていきがちだった。そのうちに武器を売ることで利益を得る「武器商人」という言葉が復活してくるかもしれない。そうならないことを祈るばかりである。