クレムリン内からの不満

ロシアがウクライナに軍事侵攻してから間もなく2カ月になる。西側諸国を中心に、多くの人がプーチン氏の暴挙に怒りをおぼえ、戦争が早く集結してほしいと願っているかと思う。

ただロシアの世論調査では、国民の約8割がそんなプーチン氏を支持している。言論統制が取られている国なので、本当に8割もの人がプーチン支持なのかは疑問が残るが、プーチン氏がすぐに政権トップの座から引きずり降ろされることはないだろう。

しかし、私が得ている情報によると、クレムリン内部で最近になって変化が起きているという。ウクライナへの軍事侵攻に疑問をもつ政府高官が増えているというのだ。それは紛れもなくプーチン氏に抱く疑念であり、戦争に反対することが真っ当な考え方であるとの思いが流布しはじめていることである。なかにはウクライナへの侵攻そのものが「破滅的なミスだった」と表現する高官もいるという。さらに、西側諸国が推測している以上に、ロシアへの経済制裁が効いているとの情報もある。

それでもロシア人は日本と似た気質があり、耐えることができる国民だとも言われる。そのため経済制裁が続いても、国民はすぐに音をあげたりせず、じっと耐え忍ぶというのだ。しかも国民からのプーチン氏への信頼は依然として厚い。さらに国防省のセルゲイ・ショイグ氏は依然としてプーチン氏の片腕として尽力しているし(プーチンを動かしている男)、ワレリー・ ゲラシモフ国防次官やニコライ・パトルシェフ安全保障会議書記といった親プーチン派のメンバーも健在だ。

「壊滅的なミスだった」という真っ当な見解がはやくクレムリン内を包み込むように力をもってほしいと思うことしきりである。