世界中で嫌われ者になった中国、南米沖での違法操業に悲鳴

「もう耐えられない。たとえようもない憤怒がこみ上げています」

こう怒りを露わにするのは、国連海洋法に詳しいアルゼンチン人の大学教授。中国は過去何年も、太平洋の反対側の南米沖まで大漁船団を送って違法操業を行っており、一向に止む気配がないことに対する憤りは強い。

中国漁船団の船舶数が10隻前後であれば問題視されてこなかったかもしれない。だが、多い時は300隻を超える船団が操業を続け、南米諸国の漁業関係者が「水産資源が枯渇してしまう」と心配するほどの乱獲を繰り返しているのだ。そのため、最近になって再び中国に非難の目が向けられている。

まず問題になっているのは、国際法違反の行為そのものである。国連海洋法条約では、沿岸国は自国の200海里(約370キロ)の範囲内に排他的経済水域(EEZ)を設定することができる。だが中国漁船団は国際法を無視して南米諸国のEEZ内で操業を行っているのだ(続きは・・・世界中の嫌われ者になった中国、南米沖での違法操業に悲鳴)。

次の駐日米大使の素顔

バイデン大統領は次の駐日アメリカ大使として、前シカゴ市長だったラーム・エマニュエル氏(61)を指名することとなった。

実は、私はエマニュエル氏のことを30年ほど前から知っており、何度も取材したことがある(ある男の勝利)。最初は1992年、彼がビル・クリントン氏の選挙事務所で選挙資金を集めていた時にであった。その時は政治家志望であるとはまったく知らず、単なるボランティアだと考えていた。

クリントン政権誕生後、ホワイトハウスで補佐官を務めている時にも顔を合わせたが「大物感」はなかった。だがその後、連邦下院議員に当選して6年間議員を務め、オバマ政権が誕生すると初代の首席補佐官に就任するのだ。そして次のステップとしてシカゴ市長になった。極めて上昇志向が強い人物である。

筆者撮影

そしてこれから駐日米大使になり、少なくとも数年は日本に滞在することになりそうだ。エマニュエル氏と以前、話をしているときに感じたのは、最終的にトップ(大統領)にまで上り詰めたいとの宿望を抱いているということである。それが難しい挑戦であっても、チャンスをうかがっているのだろうと思う。

お手並み拝見である。

ワクチンは薬局で:新型コロナ(39)

コロナワクチンの接種は日本でも2月中旬から医療関係者に対して行なわれているし、4月12日からは65歳以上の高齢者にも一部地域で行なわれている。だが、皆さんもご承知の通り、諸外国と比較するとワクチン接種のペースは上がっていない。

5月9日時点で、ワクチンを2回済ませた人の割合は0.9%。1回だけの人も2.6%という低率で「この先、大丈夫だろうか」という思いがある。65歳以上のお年寄りが接種を受けるために近所の病院に電話をすると、お話中が続いて予約が入らないという話も耳にする。

厚生労働省はいま全国の地方自治体を通して、接種のためのクーポン券(接種券)を送付している。そして接種できる時期がきてはじめて電話やインターネットで接種の予約を入れるという流れだが、このままでは医療関係者と高齢者以外の接種が回ってくるのはずいぶん先になりそうだ。

つい先日、ニューヨークにいる友人に連絡を入れると、すでに「ファイザーのワクチンを2回接種した」ということだった。ご存知の方もいるだろうが、アメリカでは医療機関だけでなく薬局やスーパー内の医療コーナー等ですでにコロナワクチンの接種が行なわれている。

友人もマンハッタンの薬局に飛び込みで入り、翌日に接種をする予約が取れたと言っていた。アメリカはいまでも感染者数と死亡者数は世界一で、決して誇れたものではないが、このあたりの柔軟性と臨機応変さは日本も見習うべきである。

菅首相がやるべきこと:新型コロナ(38)

菅氏は先週、緊急事態宣言の効果について「人流については間違いなく減少している。効果は出始めてきているのではないか」と発言したが、その発言が感覚的で、しかも的外れであったことは、いま首相がもっとも痛感しているのではないか。

首相発言をうけて、ヤフーは「緊急事態宣言の効果は出始めていると思いますか」とネット上で問うと、日本時間5月9日午後3時40分現在、約36万6000人が回答を寄せ、94.1%が「効果が出ているとは思わない」とした。心情的には「菅さん、いったいどこを見てるんだよ!」という思いである。

菅政権のコロナ対策はあまりにも漠然としており、いまになって「1人1人が意識を持って行動し、マスク、手洗い、3密の回避という基本的な予防策を徹底するよう、改めてお願い申し上げます」(7日)と発言したことに、違和感さえ持ってしまう。

いま必要なのは、たとえば東京では「新規感染者数を何月何日までに100人以下にします」とか、「ワクチン接種を6月15日までに37%の国民に接種します」といった明確な数値目標であり、それに向けての努力である。菅氏の発言はあまりにも漠然としすぎており、真剣さの不足を感じると同時に、周到に練りこまれたコロナ対策ができていないと考えざるをえない。

すでに1年以上もコロナが蔓延しており、首相が強い意志と行動抑制、ワクチン接種の具体的な数値をださない限り、国民はなかなか感染予防に真剣になれないのではないか-。