森発言に思うこと

「女性がたくさん入っている会議は時間がかかる」発言が過去数日、世界中を騒がせている。いまさら私がここでモノを言っても何も変わらないが、少しだけ述べさせていただきたい。

発言後、森氏は記者たちの質問に答えたが、その時の発言がさらに森氏の傲慢さを際立たせることになり、日本人を含めた世界中の人たちが「反モリ」という機運を作りだした。多くの人のなかに「辞任しろ」、「日本人として恥ずかしい」、「菅さんが辞任させるべき」といった思いが渦巻いている。

しかしそれによって、菅氏や小池都知事、またIOCのバッハ会長が森氏を辞めさせる動きに出たかというと、そうではない。流れはむしろ逆だ。森氏の周囲にいる人たちと東京五輪関係者は森氏の続投を望んでいる。森氏の政治力を失うことの方が五輪開催にとって損失が大きいとの判断のようだ。

森発言には2つの問題があると考えている。一つは公の席で女性蔑視の発言をしたことである。この発言は「昭和のおとっつぁん」のものである。森氏は現在83歳。こうした考えを持ち続けていたことは想像に難くないが、テレビカメラが回っていることを知りながら同発言をした森氏の軽率さと無思慮な人間性があらためて浮き彫りになった。

もう一つは森氏が女性蔑視の考えそのものを持ち続けている点である。公の場で差別的な発言をしなければ構わないというわけではない。時代はすでに2020年代である。女性が周囲にいなくとも、男性同士の会話であっても、もはや「いただけない」。こうした発言をするということは、普段からそう考えているからであり、私から言わせれば「この人はもう終わり」でしかない。

トランプの別れ曲

仕事がら、人に話を訊くことは多いですし、取材を受けることも少なくありません。先日、毎日新聞の記者にトランプ大統領がワシントンを去る時に流された曲についての取材を受けました。

なぜトランプは「Y.M.C.A」と「マイウェイ」の2曲を選んだのか。

なかなか面白い着眼点で、これまでの大統領選とアメリカ取材の経験を踏まえて話をしたことが記事に使われています。(https://mainichi.jp/articles/20210204/k00/00m/030/144000c

定年をなくそう!

今日(2月3日)の朝日新聞朝刊7面に、ある中堅商社が定年を実質的に廃止するという記事が出ていた。

大変喜ばしいニュースであると同時に、「ようやくか」との思いもこみ上げてきた。21世紀になってもいまだに定年があることに、個人的には違和感を覚える。今日のブログは少し長くなるが、最後まで読んでいただければ幸いである。

まず朝日の記事を簡単に紹介させて頂きたい。化学品や情報システムなどを扱う三谷産業(金沢市)が「無期限の継続雇用制度」を今年4月に設けるという内容だ。日本国内にあっては、リベラルでかなり前向きな考え方の企業である。健康で体力に問題がなく、本人が働き続けたいのであれば無期限で働けるようにする(定年をなくす)というのだ。素晴らしいことである。

同社がこの決断にいたった背景を説明したい。昨年3月、政府はある法律を成立させた(施行は今年4月)。「改正高年齢者雇用安定法」という名前(いつも思うが官僚はもっとキャッチ ー で覚えやすい法律名を考えるべきである)で、定年を①廃止、②延長、③定年後の継続雇用、の3つから選択できるようにする内容で、社員を70歳まで働けるようにしたものだ。

だが三谷産業は法律施行に合わせて、定年を実質上廃止することにした。70歳ではなく、はっきり言えば死ぬまで働けるということである。多くの方はこの決断を「英断」と捉えるかもしれない。しかし、冒頭で「個人的に違和感を覚える」と書いたとおり、私にしてみると「ようやく」でしかない。

またアメリカとの比較で恐縮だが、アメリカには定年というものがない。少なくとも過去50年以上にわたって定年はない。実は1967年に、年齢を理由にして社員を解雇することは差別にあたるとして、「 雇用における年齢制限禁止法(The Age Discrimination in Employment Act) 」という法律ができたのだ。これによって、「あなたもう65歳だから辞めてください」と、年齢を理由に社員を解雇できなくなった。つまり定年の廃止である。

それでも現実的には、アメリカ人は 65歳から70歳くらいになると自分で退職の線をひいて、仕事を辞める。日本と違うのは、会社から「辞めてください」と言われて退職するのではなく、自らが進退を決められるということだ。

人によっては黒柳徹子さんのように、80歳を超えてもバリバリ現役で仕事をこなせて、かつ自分でも仕事を続けたいという方がおり、こうした人たちに対して「退職年齢がきたから辞めてください」というのはあまりにも忍びないし、社会にとっての損失であるとも言える。

ただアメリカ企業も天使ではない。年齢を理由に解雇できないので、高齢になって効率的に業務ができない社員に対しては、他の理由で解雇を言い渡すことはある。この点ではいまでも訴訟問題が起きていたりする。それでも基本的に、経済的な理由で仕事を続けたいという人や、仕事を続けた方が健康でいられるという人はずっと仕事をしていられる。

日本も当然、そうあるべきだろうと思う。だから「定年をなくそう!」なのである。

無性に食べたくなるもの(15)

「これほどおいしいスープがあるだろうか」

最初にこのスープを口に入れた時に感じたことです。原宿表参道にある南国酒家原宿本店の「かにの玉子入りふかのひれスープ」は、私の中では宝物箱にしまっておきたいスープなので、「たまにしか」食べにいきません。本当に好きなものはその方が希少価値を保てるような気がしています。