森発言に思うこと

「女性がたくさん入っている会議は時間がかかる」発言が過去数日、世界中を騒がせている。いまさら私がここでモノを言っても何も変わらないが、少しだけ述べさせていただきたい。

発言後、森氏は記者たちの質問に答えたが、その時の発言がさらに森氏の傲慢さを際立たせることになり、日本人を含めた世界中の人たちが「反モリ」という機運を作りだした。多くの人のなかに「辞任しろ」、「日本人として恥ずかしい」、「菅さんが辞任させるべき」といった思いが渦巻いている。

しかしそれによって、菅氏や小池都知事、またIOCのバッハ会長が森氏を辞めさせる動きに出たかというと、そうではない。流れはむしろ逆だ。森氏の周囲にいる人たちと東京五輪関係者は森氏の続投を望んでいる。森氏の政治力を失うことの方が五輪開催にとって損失が大きいとの判断のようだ。

森発言には2つの問題があると考えている。一つは公の席で女性蔑視の発言をしたことである。この発言は「昭和のおとっつぁん」のものである。森氏は現在83歳。こうした考えを持ち続けていたことは想像に難くないが、テレビカメラが回っていることを知りながら同発言をした森氏の軽率さと無思慮な人間性があらためて浮き彫りになった。

もう一つは森氏が女性蔑視の考えそのものを持ち続けている点である。公の場で差別的な発言をしなければ構わないというわけではない。時代はすでに2020年代である。女性が周囲にいなくとも、男性同士の会話であっても、もはや「いただけない」。こうした発言をするということは、普段からそう考えているからであり、私から言わせれば「この人はもう終わり」でしかない。