無性に食べたくなるもの(14)

この写真だけを見て浅草「大黒家」の天丼であると言い当てられた方は、よほどの食通でしょう。明治20年(1887年)にそば屋として創業した同店は、天ぷらが人気となって明治末にそば屋から天ぷら屋になります。

他店と趣きが違うのはゴマ油を使って揚げてから甘辛のタレをくぐらせているところで、天ぷらは柔らかくて濃い味が舌にしみ込みます。すでに他界した両親が好きで、幼少の頃から連れていかれたので、いまでも時々無性に食べたくなります。