アメリカ社会のニュートレンド

バイデン新大統領が誕生した。就任演説は日本時間21日午前2時からだったが、私は同日正午からテレビ朝日の番組に出演して話をする予定だったので最後まで観た。

バイデン氏は国家の団結・統一の必要性を繰り返し述べていたが、それは今のアメリカ社会がいかに分断されているかを象徴するもので、ある意味、バイデン氏のような良識人だからこそ真摯に団結・統合という言葉を口にできたのだろうと思う。分断されたアメリカ社会をまとめあげることが苦難の道であることは多くの方が知るとおりで、どういった道筋があるのかも明確には見えていない。それでも、トランプ時代のアメリカ一国主義から多国間の交渉によってモノゴトを進めていく姿勢は望ましいし、喜ばしい。

バイデン氏は時速160キロを超す豪速球を投げる投手ではないし、キャッチャーが捕れないような魔球をもっている投手でもない。丹念にコーナーをついていく地道なタイプなので、長期的にはむしろバイデン氏のような政治家が名を残すことにかもしれない。

すでにさまざまな政策が用意されているが、私が注目しているのはニュートレンドとも言える移民政策である。中南米のヒスパニックを中心に、8年計画で約1100万人を米国市民にしようという計画がある。

胸襟を開いて多くの移民を受け入れる考え方の裏には、ある狙いがあると思われる。ヒスパニック系移民は米市民になったときに民主党支持者になる可能性が高いことから、今後の民主党を考えると移民の受け入れは大きなメリットがあるのだ。

極論を述べれば、ヒスパニック、黒人の人口が増えれば増えるほど今後は民主党から大統領が生まれやすくなるということだ。バイデン氏がそこまで狙っているかどうかは定かではないが、十分に想定できることだと思っている。