「差別意識は病である」

最近、これほど胸に刺さった言葉はない。

誰が言ったかといえば、英プレミアリーグのスター選手、ラヒーム・スターリングである。スターリングはジャマイカ出身で、褐色の肌をもつマンチェスター・シティー所属の名選手で、昨シーズンはFWA年間最優秀選手賞にも輝いている。

そのスターリングが、米ミネソタ州で起きたフロイドさん殺害事件を機に、黒人差別についてBBCとのインタビューで述べたのだ。

「少しばかり陳腐ないい方かもしれないけれど、いま人類が戦っている唯一の病が差別だね」

コロナではなく、差別こそがもっともやっかいな人間の病であると言ったところにインパクトがある。

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「行けるには行けるんですが、、」

どこに行けるのかー。

アメリカである。今年は大統領選があるので、私は2月に取材でニューハンプシャー州に行き、8月にも党大会を取材するつもりでいた。だがコロナ騒ぎで行くことができない、と思っていた。

だが今日、旅行会社に電話をして確かめると、「行けるには行けるんですが、、」という返事をもらった。

どういうことかというと、飛行機は飛んでいるので、成田か羽田を発ってアメリカの空港に降り立つことはできるのだが、問題はそこからである。

「2週間、隔離されますので、お仕事かご旅行で行かれてもホテルからしばらく出られません」

さらに予定どおりに日本に戻れたとしても、また2週間、どこかで缶詰にならざるを得ない。まるまる1カ月はホテル住まいをしなくてはいけないということだ。

フリーランスの立場であっても、さすがにそこまでの時間的猶予はない。隔離が解けない限り、現実的には海外にはいけないということになる。

日本では東京の新規感染者が4日、28人だったことで「まだ安心できない」との思いを抱いかれた方もいただろう。だがアメリカでは4日の新規感染者は2万1140人である。いまだに、、である。

当欄でグラフを添付してアメリカの感染者数をご紹介してきたが、大幅に減る様子はない。累計の感染者は187万人超で、死亡者は10万8000人を超えた。いまでも毎日1000人以上の方が亡くなっている。

大統領選がメディアの関心から遠のくのも無理からぬことである。

トランプは負けるべき

全米の都市がいま騒然としている。騒然というより「壊乱」という言葉の方が適語かもしれない。

ミネソタ州の路上で白人警察官デレク・ショーヴィン被告に殺害されたジョージ・フロイドさんの事件は、黒人と白人の根深い対立をふたたび光のあたる場所に晒すことになった。

黒人のなかには1619年からほぼ400年間、アメリカ社会は「何も変わっていない」と主張する人たちもでてきた。1619年というのは、アフリカ人が初めて奴隷としてアメリカ本土に連れてこられた年である。その間、黒人たちは前へ進んでは戻され、そしてまた前進しては後退するということを繰り返しながらここまできた。

オバマ大統領が誕生したとき、黒人の周囲にあったバリアはかなり低くなったが、アメリカ内部に目を向けると、いまでも今回の事件のように黒人が理不尽に殺害される事件はあとを絶たないのが現実だ。

今回は幸いにも撮影された動画がネットに流れたことで、多くの人が知ることとなった。それにより、心の奥にしまわれていた一部の白人への猜疑と憎悪が通常より何倍も増幅されることとなった。

壊乱は多くの都市で収拾がつかなくなっているため、トランプ大統領は州知事たちとのカンファレンスコールを開いて、こう告げた。

「あなた達は弱虫だ。(デモ参加者を)逮捕しなくてはいけない。奴らは過激派で無政府主義者なんだ。(政府が)制圧しないと、やられるだけだ。何もしないとアホに見えるだけだぞ」

対立を激化させることに腐心するトランプ氏。アメリカ内部に隠れていた亀裂が鮮明化して、白人と黒人の対立はより深まっている。それを煽るような発言は、大統領としてもっとも避けなくてはいけないのだが、この人は構わない。

これまで私はジャーナリストとして、トランプ大統領についても客観報道を心がけてきたつもりだが、今回ばかりは個人的意見がそれを上回る。

トランプは11月の選挙で負けるべきである!