3月2日朝、ピート・ブダジェッジが米大統領選から撤退するというニュースが飛び込んできた。2月にニューハンプシャー州予備選を取材した時に、彼からは頭脳明晰さとほとばしるエネルギーを感じ、かつて取材でビル・クリントンやバラック・オバマと相対した時に胸に去来した同じ思いが蘇ってきていた。
だがピートは今月3日のスーパー・チューズデーまでもたなかった。
理由は2つのモノを集められなかったことにつきる。1つは選挙資金だ。アイオワとニューハンプシャー以後、選挙資金が思うように集まらなかった。
ピートは今年2月21日までに約8150万ドル(約87億円)を集金し、すでに9割ほどを使っていた。アイオワとニューハンプシャー両州で上位にきたわりには以後のカネの集まり方が悪かった。彼の選対にはもはや14州で行われるスーパーチューズデーを戦う資金がないことは誰の目に明らかである。
2つ目に集まらなかったのは黒人とヒスパニックといった非白人票だった。サウスカロライナでは黒人票の約3%を奪っただけである。これでは全米で戦えない。ピートは最初からよくわかっていたはずだが、どこかで反転させられると期待していたのだろう。
聡明で上品な候補であったことは誰もが認めた。同性愛の候補としての可能性は、以前にも書いたが今の時代ではむしろプラスに働くと思っていたが、予想外に苦戦した。
個人的にもっとも推していた候補が撤退したことで、今晩は少し強めの酒をあおりたいと思う。(敬称略)