最近、以前よりも確実に涙もろくなっている自分がいることに驚くことがある。テレビを観ても、ほろりとさせる文章を読んでも、ウルウルきてしまう。今朝はウルウルどころか、ティッシュが何枚も必要なくらい泣いてしまった。
ネットで国際ニュースをチェックしていると、1月26日に飛行機事故で亡くなったNBAのコービー・ブライアントの話がでていた。現役時代の実話である。
コービーの所属するLAレイカーズがアリゾナ州フェニックス市に試合に来た時のことだ。同市に住むクリスティン・ヘクトさんという女性は彼に頼み事をしたかった。ヘクトさんはフェニックスの病院に勤務しており、そこに5歳の男の子が入院していた。彼がコービーの大ファンであることを知っていたので、サインをもらいたいと考えていたのだ。
幸いにも、ヘクトさんの夫トム・ヘクトさんはLAレイカーズの対戦相手であるフェニックス・サンズの重役だった。サインであればコービーは応じてくれると踏んでいた。コービーに話が伝わると、思っていたとおり快諾してくれ、サインが入手できることで男の子も大喜びだった。
コービーには男の子の病状も伝えられた。心臓に重篤な疾患があり、集中治療室にいることも告げられた。するとコービーから直接、病院に会いに来たいとの申し出があった。コービーはヘクトさんと協力して、記者や関係者には知られないように病院の非常階段をつかって男の子に会いに来た。
バスケットボールを持ってきていたコービーは男の子と1時間ほどパスをしたりして過ごし、いくつもの品々にサインをして静かに帰っていった。帰り際、コービーはヘクトさんと男の子の母親に言った。
「何かできることはないですか。金銭的なことも含めて、、、。それならば任せてもらえませんか」
ヘクトさんはコービーの誠実な態度と優しさに魅了された。だがこう言わざるを得なかった。
「彼は小さすぎて心臓移植ができないのです」
コービーが病院を訪れた1週間後、男の子は天に旅立っていった。亡くなったあと、母親がヘクトさんにこう告げている。
「コービーと一緒にいた1時間が彼の人生でもっとも楽しい時間だったと思います。何枚も写真を撮りましたが、その時のものが人生で唯一笑っている写真だったからです」
そのコービーもいまは帰らぬ人となった。また泣きそうである・・・。