9月の見通し

9月に入り、世界経済の見通しはいまだに不透明なままだ。株価は乱高下しており、リセッション(不況)に突入する前段階にさしかかったかに見える。

9月2日はアメリカではレーバーデー(労働者の日)という祝日で市場は休みだったが、休み明け3日のニューヨークダウは反落して前週比285ドル安だった(下落率1.01%)。半月前の8月14日には800ドル安(3.05%安)、23日にも623ドル安(2.37%安)という急落があり、3番目の下落ということになる。

その間、株価が持ち直す日もあったが、株価は下り坂を少しずつ、ゆっくりと降りているように見える。経済学者や金融関係者がよく引き合いに出すISM(製造業景況感指数=Institute for Supply Management)が3年ぶりに50を割り込んだというニュースもある。

ISMは製造業企業の担当者に新規受注や雇用、雇用など多岐にわたる項目を調査した結果で、50を下回ると景気が悪いと感じる人が多いということで、もう右肩上がりの時期は過ぎたという印象がある。最大の要因は米中貿易戦争で、トランプと習近平の突っ張り合いの着地点が見えないことにある。

実は1929年の大恐慌が起きたときもレーバーデー明けから始まった。2008年のリーマンショックもレーバーデーの後で、9月15日にリーマン・ブラザーズが破産申請をだした。日経平均も9月12日に大暴落して26年ぶりの安値をつけている。

夏休み明けの9月は希望を抱く人がいる一方で、暗い気持ちになっている人がいるのも事実で、「世界経済の気持ち」を訊くことができたとするならば、きっと「上は向けないなあ」というのが本音だろうと思う。(敬称略)