先頭をいく候補

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1月31日正午、日本外国特派員協会の会見に現れた都知事選に出馬している舛添要一(66)。通訳を使わずに、質疑応答はすべて英語でこなした。

日本の政治家でこれができる人はたぶん5人もいないだろう。石川遼にもでいない芸当である。東京オリンピックを控える東京都の知事に望まれる資質の1つだ。もちろんアクセントのある英語だが、まったく問題ない。

28日に会見を行った細川護煕と比べると、醸しだすエネルギーは何倍もある。どの候補にもプラスとマイナスの両面があるが、舛添のプラス面を挙げるとするとこの前向きなエネルギーだ。

「もし都知事になって東京を変えることができれば、それは日本を変えることになる。そして世界も変えられる」

東京の政治・経済、社会環境が好転すれば、それが日本全体に好影響をおよぼすことは想像に難くない。だが、そのあとに「世界も」とためらいもなく言えるところに、この人の自信と楽観を見るのである。

たとえばある日の朝、築地に足を運んで「400か500もある店舗に足を運んで、私が移転問題を解決すると言ったんです」と断言する。慎重であるより大胆であれという格言をいつも携えているかのようだ。世論調査で他候補を抑えてリードしているのは、そうした点が目立つからかもしれない。

月並みな表現だが、大風呂敷を広げるだけ広げている。それも5メートル四方の風呂敷である。それが舛添要一の政治家としてのプラスでありマイナスなのかもしれない。(敬称略)

殿の登場

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国民の6割以上が反原発に賛同している中で、元首相の細川護煕は「原発ゼロ」を掲げて都知事選に参戦した。

28日午後3時、日本外国特派員協会の記者会見ではオリンピック開催や待機児童問題などにも触れたが、この人の争点はやはり原発である。

「2020年の五輪開催を目標期限として、原発を再稼働させず、それをテコとして自然エネルギーを活用して、日本経済の活力を生みだしていく」

都知事選に原発を争点にするのはいかがなものかとの批判もあるが、真っ向から否定した。

「原発ゼロによってあらたな成長を促していく。それが日本にとってベストの選択であるはず。原発は過去の産業といってもいい。ドイツでは原発を辞めて雇用が20万も増えた」

本当に日本人の価値観を問う選挙であるのか。

「今すぐゼロに決めないと、40年たっても50年たっても原発を辞めるということにはならないのではないか。トップの仕事というのは大きな方向を決めること。いまゼロにすることを決めれば、多くの企業が自然エネルギーの流れをつくる。その流れを早く作ることが大切」

私は「東京都は2013年9月現在、東京電力株のわずか1.2%しか所有していない。その中で原発ゼロにしていく具体策をとれるのか」という質問を投げた。殿の答えはこうである。

「東京都は株主としてはそれほど大きな力はないかもしれない。しかし第4位の株主だ。だから東電に対して経営計画の詳細を明らかにしてもらいたいし電力料金の透明化を計ってもらいたい。いろいろと注文をつけることはできる。東京エネルギー戦略会議というものを起ち上げようと思っている。具体的に東電に突きつけるべきいくつものテーマを投げかけて回答を求めていきたい」

これで原発ゼロにつながるのかははなはだ疑問である。

ただ穏やかな語り口は20年前の首相時と何らかわらない。殿を間近で見るのは、1994年2月にホワイトハウスでクリントンと共同会見を行った時以来である。白いモノが増え、皺も深くなった。

その時もそうだったが、鉄をも溶かすようなひたむきな思いを秘めているのか、表情からはわからない。76歳となった今、それがもっと分かりづらくなった。(敬称略)

並外れた関心:フェイスブック

「1日10万ページビュー(pv)を超えたら大ヒット記事です。堀田さんの記事は21日だけで22万ページビューに達しました」

日経ビジネスオンラインの担当編集者はメールでそう書いてきた。

今週書いた拙稿『やはり進んでいる若者のフェイスブック離れ』への読者アクセス数がこれまで書いたどの原稿よりも多かった。22日、23日になってもアクセスは増え続け、いまは40万pvを超えているかもしれない。

これは私が書いたからというわけではない。フェイスブックがテーマだからである。しかも、ティーンはもう使わないという内容なので、読者の興味をそそったに過ぎない。

2年前からフェイスブックは終わるという内容の記事を書いている。2年前は激怒した読者が辛辣な批判を私に向けることもあったが、いまは状況が変わった。

今さら誰もが知るような内容を書いてどうしたのかという思いさえ感じる。だから40万ほどのアクセスがあっても、「とても参考になった」という方は3割にも満たない。6割近くが「参考にならなかった」と回答している。

ただ記事に対する「いいね」ボタンは4500本に達し、ツイッターのリツイートを入れるとどれくらいの数字になるのかは正確につかめない。同意してくださった方もいれば、その逆の意味で読まれた方もいるだろう。

ファイスブック利用者の心情としては、なくなっては困るものだろうから、今後の成り行きに興味があってアクセス数が増えたようだ。

日本経済新聞のオンライン版に登場したのも読者数が増えた理由かもしれない。さらに他のニュースサイトへの転載もあった。相乗効果が働いた結果である。

しかし40万のアクセスがあっても、私のところに直接メールやコメントを寄せてきた人はいない。40万分のゼロである。書いた本人には興味がないということだ。

世の中、そんなものである。