平成の野口英世

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エイズは近年、ニュースで取り上げられなくなりました。かつては必ず死ぬ病気でしたが、いまは高血圧や糖尿病のように薬で押さえ込める病気になったからです。

世界で最初の治療薬を発見したのは日本の満屋裕明(みつや ひろあき)という医学者です。エイズウイルスの感染経路が不確かな時に実験室にこもって薬を見つけたのです。私は「平成の野口英世」と呼んでいます。

16年前に出した単行本に加筆・修正して文藝春秋社から文庫として出ます。タイトルはエイズ治療薬を発見した男 満屋裕明 (文春文庫)本屋さんの店頭に並ぶのは9月2日ですが、予約受付中です。648円(税込)。

村上龍氏が推薦文を書いてくれました。そしてNHKが9月25日(金)午後10時から、拙著をベースにしたドキュメンタリー番組を放映します。

売れるかしら?

ここはどこの国でしょうか?

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<ヒント:中東>

<答:トルコ。エーゲ海に面したリゾート地オルデニズ。(注)この写真は友人が送ってくれたもの。あまりに綺麗なので、初めて他の方が撮った写真を当欄に載せます>

タクシーの中へ(7)

以前から抱いていた疑問がある。タクシーと電車、いったいどちらが早いのかということだ。

「都内なら電車の方が早い」という話をよく聞くが、本当はどうなのか。

先日、仕事場から港区青山1丁目までいく用がありタクシーに乗った。午後2時半過ぎ。銀座の晴海通りから青山のツインタワー近くまで、所要時間は18分。道路は渋滞していたわけではなく、車は比較的スムーズに進んだ。

帰りは地下鉄銀座線に乗った。青山1丁目駅から銀座駅までの所要時間が10分。単純に比較すると地下鉄の方が早い。

だが用事のあった場所から駅まで歩いて4分。ホームで電車を待つ時間が3分。そして乗車時間が10分。銀座駅に着いてから仕事場までの徒歩時間を足すと、地下鉄を使う方が長かった。

これは1例に過ぎない。所用の場所が電車の駅からほとんど歩かず、しかもホームに着いたらすぐに電車に乗れる状況であれば、電車の方が早いかもしれない。

以前、朝の通勤時間帯に自宅から仕事場までタクシーに乗ったことがある。道路は混んでいた。運転手さんに訊くと「朝はいつもこんなもんだよ」。

電車であれば「ドア・ツー・ドア」で25分という時間が、その日は行程の半分ほどで45分もかかってしまった。

結論としては、移動する地域と時間帯によって違うので一概には言えない――という口をアングリさせてしまうくらいつまらなくてすみません的な答えに落ち着いた。

本当にすみません!

「米国はキャロライン・ケネディ氏を駐日大使として『使っている』が、彼女は大使の仕事をオファーされた時、信じられなかったんだ。(オバマ政権側が)『大使はいかがですか』と聞くと、『本当ですか?』ってね」

米共和党から大統領選に出馬している不動産王ドナルド・トランプ氏は12日、ミシガン州で行った演説で、ケネディ氏を茶化した。

話の趣旨は、ケネディ氏が大使として不適任ではないかという点と、任命された理由がバラク・オバマ大統領の2度の選挙で資金援助をしたからというものだった(トランプ候補を一番人気にしておく米国の病理)。

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Photo courtesy of Redstate.com

アメリカの病理

アメリカ大統領選に出馬している不動産王ドナルド・トランプの勢いがとまらない。

多くの政治アナリストは「支持率が高いのは今だけ」と評しているし、私もそう考えている。年内には失速するかに見える。

ただ、共和党候補たちによる第1回目の討論回(8月6日)で暴言を吐いたあとも支持率はトップを維持している。というより、勢いが増した感すらある。どの世論調査でもトランプがトップである。もちろん共和党内の話で、民主党はヒラリー・クリントンがトップである。

トランプの支持率が高い理由は、他の政治家が吐かない本音をわかりやすい言葉で語っていることによる。ビジネスで成功した自信が言動にあらわれ、「俺ならこうやって解決する」という単純明快なスタイルが受けている。

個人的に、トランプが述べる話の約9割に賛成できないが、アメリカの一部の有権者の不満を代弁していることは確かである。湧き上がるエネルギーはジェブ・ブッシュの数十倍はあるような印象だ。

彼を支持するツイッターの書き込みをいくつかご紹介したい。

「(アメリカ国内への)不法移民の流入を、これまでどの政治家も阻止できなかった。彼なら本当に阻止できそうだ」(アメリカとメキシコ国境に万里の長城を築くという考えに対し)

「トランプこそが(ワシントンの)屁のように腐りきった空気を浄化できる男だ」

「メキシコ人やハイチ人、中東の人間、それにアフリカ人など、アメリカはこれまでスポンジのように彼らを受け入れてきた。彼らを自国に追い返すのが最良の策だ」(トランプの排他思想に賛同して)

こうしたトランプを推す排他的でかたよった保守思想は、アメリカ社会の中ではごく一部に過ぎない。民主党の有権者はもちろん、共和党の主流派にさえ毛嫌いされている。

これを「アメリカの病理」と呼んで差しつかえないだろう。短期的には反オバマ=反リベラルにスポットライトが当たっているということだ。(敬称略)

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Photo courtesy of Donaldjtrump.com