裏側を少しだけ

別に新しいことではない。だがテレビの番組制作の現場をみる機会はそれほど多くない。

今月7日午前9時。テレビ朝日5階の大部屋には40~50人のスタッフがラフな出でたちで、それぞれのパソコンに向かい合っていた。

毎朝、午前10時半に始まる番組「ワイド!スクランブル」の制作スタッフだ。前日の一大ニュースである北朝鮮の水爆実験がその日のトップニュースである。

「半分くらいの人は徹夜です」と女性スタッフは言った。

私が番組に呼ばれたのは、2番目のコーナー「米大統領選候補トランプ」で話をするためだった。すでにスタッフや出演者は水爆実験についての打ち合わせを始めていた。

しばらくして「堀田さん、お願いします」と打ち合わせに参加するように促された。

チーフプロデューサーを筆頭にチーフディレクター、数人のディレクター、そして番組のMCである橋本大二郎、アナウンサーの大下容子、若い局アナ、レギュラー・コメンテーターの中野信子らが席についている。

「よろしくお願いします」と言って席につくと、すぐにチーフディレクターが司会役となってコーナーの進行を説明し始めた。台本にはすでに誰がどういう質問をするかが記されていた。

台本の「堀田:」というところに来た時、チーフディレクターが私にコメントを求めてきた。どういった内容の話を、どれだけ明瞭に、落ち着いて述べられるかが試されていた。少しばかり心拍数が上がる。

思っていることを少し長めに話した。全員が肯いている、、ように見えた。橋本と大下は下をむいて、ずっとノートを取っている。

そのあと橋本からいくつか質問がでたが、どれも的確なもので、問い詰められるようなものではなかった。その場にいた全員から柔和な暖かさも感じて、気が楽になる。

「スマステーション」でも司会をしている大下はテレビで観るよりも小さく、しかも白くみえた。何も語らず、ひたすら台本にメモをしている。

中野は私の右側に座っていたが、最初は誰だか気づかなかった。彼女が2度目の発言をした時にはじめて「脳科学者のあの人だ」とわかった。

番組の前後で少し話をしたが、たいへん人当たりの柔らかい人であることを知った。バラエティー番組で観て想像していた通りの柔軟さをもっているように思えた。

20分ほどで打ち合わせが終わると、私のコーナーが始まる11時15分まで控え室で待つことになる。

11時過ぎになって「堀田さん、化粧をしてください」と呼ばれるまで、下の写真の楽屋で、私はスマホを使って音楽を聴いていた。(敬称略)

 

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誰にもとめられないトランプ

アメリカ大統領候補ドナルド・トランプの勢いが止まらない。

15日にネバダ州ラスベガスで行われた共和党候補者による第5回の討論会が終わっても、支持率は落ちるどころか伸びてさえしている。政治評論家だけでなく、共和党の主流派でさえもここまでの躍進は予想していなかった。

討論会では相変わらず抽象的なことしか述べないし、遊説先でのスピーチを聞いていても「イスラム教徒はアメリカに入国させない」、「僕が素晴らしいのはスッゴイ金持ちってこと」など唖然とさせられる話を繰り返している。

アメリカの大統領候補らしからぬ言動でありながら、 共和党有権者の6割はトランプの言説に「賛成か、ある程度は賛成」で、勢いは増すばかりである。

「トランプは危険な候補」という考え方は民主党だけでなく無党派層にもひろがっているが、この勢いを維持したまま予備選を駆け抜けるかもしれない。

17日夜、フジテレビのインターネット・テレビに出演してトランプが共和党の代表候補になる可能性は十分にあると述べた。それがアメリカのイマを冷静に眺めるということだと思う(アメリカのイマ)(トランプの胎動を考える) 。

トランプが支持される理由は4つに集約できると思う。

1 利益団体からカネを受け取らない - スーパーパックと呼ばれる集金目的の政治団体を否定し、自己資産をもちだしている。 利益団体から選挙資金を受け取らないということは、特定組織から政治的な影響を受けていないことを意味する。多くの有権者はその点を好ましいと感じている。

2 ビジネスマンとして成功をおさめた - 4度の破産を経験しているとはいえ、資産約1兆円といわれる財力を築くことは並大抵のことではない。逆に破産を経験しながら今の地位にいるトランプという人物に期待がかけられている。

3 本音をストレートに語る - 長い間、大統領選を追っているが、ここまで自身の本音を「普通に」 口にする候補はいなかった。大統領候補は選挙対策本部の戦略にそって話をすることが当たり前になって久しいが、トランプは直観を頼りにしていると思えるほど本音トークを繰り出している。それが保守派有権者の本音とかさなる。

4  行動力への期待 - 政治家ではないからこそ、言ったことを本当に実行に移せるかもしれないとの期待がある。たとえばパレスチナとイスラエルの中東和平を実現させるために「半年ほしい」と述べている。トランプは交渉のプロだけに、実際に両者を交渉のテーブルにつかせて和平交渉を成功させられるかもしれないとの期待がある。

最初の予備選となるアイオワ州コーカス(党員集会)は来年2月1日。いよいよ大統領選が本格的にスタートする(敬称略)。

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1988年、すでに大統領選出馬を考慮していたトランプ (Photo courtesy of Fusion.net)

大学卒業センター試験

先日、定例の勉強会ででた話題の1つである。

メンバーの1人である政治家が「大学卒業センター試験」を作って、すべての大学生に受けさせてはどうかというアイデアを口にした。

「入試センター試験」の卒業版で、すべての大学生が卒業前に受ければ、大学間の格差が多少なりとも是正されるかもしれないとの発想である。

日本ではいまだに出身校への偏重が強い。「どの学校(高校・大学)を出たか」がもっとも重視される風潮は依然として続いている。卒業センター試験が現実のものになれば、学校名ではなく在学中に培った学力や教養が重視されるのではないかとの思いだ。

企業が学生を採用する時は学校名ではなく、卒業センター試験の成績をもとに採用する流れをつくる。もちろんアイデアの段階に過ぎないが、悪くない考え方だ。

何度でもやり直しのきく社会・・・そうあるべきである。

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Photo courtesy of Strathmore Uni.