トランプ、代表候補にまっしぐら

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(アイオワ州のトランプ選挙事務所の入口)

大統領選の共和党候補ドナルド・トランプはもうすでに代表候補になったかのような気分だろう。

ニューハンプシャー州で大勝し、サウスカロライナ州とネバダ州でも連勝。3月1日に行われるスーパーチューズデー(13州と米領サモアでの予備選)では、「下手をすると」1州を除いて、すべての州でトランプが勝利をおさめる。

今朝、出演したテレビ朝日「ワイド・スクランブル」でもその点を指摘した。日本人の多くやアメリカ有権者の半数近くがトランプを危険人物とみなしているが、その声はトランプ支持者には聞き入れられない。

当欄はブログなので私見を述べると、トランプは大統領としてもっとも不適切な人物だと思っている。いまさら言わなくとも、ほとんどの人が認識していることだろうが、それでもトランプを支持する人は減らない。

私はトランプに反旗を翻す一方で、彼を推す人たちの考え方や心情もよくわかる。アメリカのことだけは肌感覚でさまざまなことを会得しているつもりだ。

だから既存の政治家や現政権に対する不満、かならず言ったことを実行してくれるだろうとの期待がトランプに集まる現状が手に取るようにわかる。

支持者たちは、トランプが利益団体と関わりがないことや、ビジネスで培った交渉力、ばく大な資産を築いた経験を政治家として生かせるはずだとの思いを膨らませている。

民主党ではたぶんヒラリー・クリントンが代表になるだろうから、ヒラリー対トランプという対決の構図が予想以上に早く表れるかもしれない。

トランプとサンダーズの勝利:ニューハンプシャー州

ニューハンプシャー州予備選の予測をしたいと思う。

2月9日は同州の予備選がある。日本時間10日正午頃に結果がわかるはずだ。

州内の4割は無党派。共和党ではアイオワ州で2位になったドナルド・トランプが1位通過してくるはずだ。民主党ではやはり2位だったバーニー・サンダーズが勝つと予測する。

大手メディアではほとんどあり得ない予測だが、流れとしては上記2名が勝ち上がってくると思う。

なまトランプ!

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69歳とは思えないエネルギッシュな話しぶりはテレビで観たとおりだった。

米アイオワ州西部の都市カウンセル・ブラフスでの集会に現れたドナルド・トランプ。過去半年以上、毎日のように演説をし、早口でまくし立てているにもかかわらず、声は擦れていないし、いまにも格闘技の試合にでられそうなほどの勢いがある。

言っている内容は、相変わらず独善的で強健的だが、支持者にはそれがたまらないらしい。

倫理的に正しくなくとも、物事を強引にねじ伏せられる力を誇示している。強くなければイスラム国には勝てないという論理だ。

ほとんど熱狂的といえるほどの声援が耳に残った。

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演説が終わったあと、支持者とカメラマンに囲まれてトランプは埋もれた。ただ、集会終了後から20分以上も支持者の帽子やTシャツにサインをしていた姿が印象に残った。

トランプ大統領?

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(photo courtesy of Hollywoodreporter.com)

米大統領選の予備選があと半月で始まる。

いちおう「ライフワーク」と公言しているので、最初の州であるアイオワ州党員集会へ取材に向かう。

共和党候補のドナルド・トランプは年が明けてもほとんどの州で支持率がトップである。ここまでの強さは、ほとんど誰も読めなかった。

私は昨年9月末まで、トランプは年内には失速すると予想していた。10月になって、「彼の強さは一過性のものではない」とわかったが、当初の見立てはハズレた。年末になってもトランプは勝てないと述べる専門家もいたが、そろそろ現実を直視すべきだろう。

組織に属さない身分なので予想が外れても左遷されることはないが、大統領選を追っている者としては恥ずかしい。

トランプが広範な支持を集める理由は前回のブログで書いた通りだ(誰にもとめられないトランプ)。いまでは共和党の代表候補の座を射止める可能性が高いと読む。

秋の選挙戦で民主党の代表候補を破って次期大統領になることも十分にあり得る。そうなるとアメリカだけでなく、世界にとっては米国関係に緊張が生まれ、場合によっては戦争に突き進み兼ねない。

アメリカの良識的な有権者がトランプだけは「危険な候補」と判断することだけを祈りたい。(敬称略)

誰にもとめられないトランプ

アメリカ大統領候補ドナルド・トランプの勢いが止まらない。

15日にネバダ州ラスベガスで行われた共和党候補者による第5回の討論会が終わっても、支持率は落ちるどころか伸びてさえしている。政治評論家だけでなく、共和党の主流派でさえもここまでの躍進は予想していなかった。

討論会では相変わらず抽象的なことしか述べないし、遊説先でのスピーチを聞いていても「イスラム教徒はアメリカに入国させない」、「僕が素晴らしいのはスッゴイ金持ちってこと」など唖然とさせられる話を繰り返している。

アメリカの大統領候補らしからぬ言動でありながら、 共和党有権者の6割はトランプの言説に「賛成か、ある程度は賛成」で、勢いは増すばかりである。

「トランプは危険な候補」という考え方は民主党だけでなく無党派層にもひろがっているが、この勢いを維持したまま予備選を駆け抜けるかもしれない。

17日夜、フジテレビのインターネット・テレビに出演してトランプが共和党の代表候補になる可能性は十分にあると述べた。それがアメリカのイマを冷静に眺めるということだと思う(アメリカのイマ)(トランプの胎動を考える) 。

トランプが支持される理由は4つに集約できると思う。

1 利益団体からカネを受け取らない - スーパーパックと呼ばれる集金目的の政治団体を否定し、自己資産をもちだしている。 利益団体から選挙資金を受け取らないということは、特定組織から政治的な影響を受けていないことを意味する。多くの有権者はその点を好ましいと感じている。

2 ビジネスマンとして成功をおさめた - 4度の破産を経験しているとはいえ、資産約1兆円といわれる財力を築くことは並大抵のことではない。逆に破産を経験しながら今の地位にいるトランプという人物に期待がかけられている。

3 本音をストレートに語る - 長い間、大統領選を追っているが、ここまで自身の本音を「普通に」 口にする候補はいなかった。大統領候補は選挙対策本部の戦略にそって話をすることが当たり前になって久しいが、トランプは直観を頼りにしていると思えるほど本音トークを繰り出している。それが保守派有権者の本音とかさなる。

4  行動力への期待 - 政治家ではないからこそ、言ったことを本当に実行に移せるかもしれないとの期待がある。たとえばパレスチナとイスラエルの中東和平を実現させるために「半年ほしい」と述べている。トランプは交渉のプロだけに、実際に両者を交渉のテーブルにつかせて和平交渉を成功させられるかもしれないとの期待がある。

最初の予備選となるアイオワ州コーカス(党員集会)は来年2月1日。いよいよ大統領選が本格的にスタートする(敬称略)。

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1988年、すでに大統領選出馬を考慮していたトランプ (Photo courtesy of Fusion.net)