「14歳のとき、ぼくの孤独は極まっていましたー」
こうした書き出しではじまる朝日新聞の天声人語が1月31日に載った。
多くの方は辛い思いや孤独感に苛まれたとき、その場から逃げたいと思ったことがあるはずだ。そうした時に、教科書的なアドバイスは「冷静に状況を分析して、立ち向かえ」「あなたなら乗り越えられるはずだから頑張って」といった前向きなものだろうかと思う。
ところが2日前の天声人語は違った。写真家の齋藤陽道氏の言葉がつづられており、絶えられない状況に追い込まれた時は「逃げてください」というアドバイスがおくられている。というのも、齋藤氏はもともと聴覚に障害があり、同級生に陰口をいわれたり無視されたり、ものを盗まれたりしてきた。「当時のぼくにとって、教室は生き地獄でした」と述懐する。消えたい、死にたいと思うことがよくあったという。
そしてある日、普通校からろう学校へと「逃げた」。それまで避けていた手話を学び、少しずつ未来が開けていったというのだ。ただ昨年、日本では子供の自殺者が過去最多になっており、ひとりひとりの状況を考えると胸が締めつけられるという。生き地獄の状況をよく知る齋藤氏だからこそのアドバイスは優しさに溢れている。
「逃げた先にはきっとあなたを救う未知の言葉がある。勇気をもって、時間をかけて、逃げていってください」