藤井聡太はこれからの人

すでにニュースで伝えられている通り、藤井聡太氏が20日、叡王戦で伊藤匠七段に敗れた。メディアはしきりに「8冠から7冠に後退した」という伝え方をし、藤井氏でも負けることがあるんだというニュアンスを漂わせている。

確かに8冠を獲得してから約8ヵ月、トップの座を守り続けて無敵の強さを誇っていたので、私などは「この人はもう誰にも負けないのではないか」と思っていたほどだ。今回負けたことで「彼も人間だった」との思いが去来した。

私は将棋は素人なので、深く考察できないが、今回、藤井氏は前半に優勢をたもっていながら時間を使いすぎてしまい、後半は1手を60秒未満で指さなくてはいけなくなり、熟考できずに敗れたと解釈している。本人はタイトルを一つ失っただけでも相当のショックを受けていると思うし、映像を見るかぎりでも青ざめているように見えたが、まだ21歳である。

人生の勝負はこれからであり、私はできるだけ長期間に渡って将棋界をリードしていってほしいので、ぜひ8冠に返り咲いてほしいと思う。いや彼ならできるはずで、こうしたタイトルを失う経験を積むことで、今以上に強い棋士になっていくことを願っている。