本当の戦闘

ウクライナでの戦闘が日に日に激しさを増している。メディアが伝えるウクライでの現状は主にキエフ、ハリコフ、リビウといった都市からのものが多く、テレビ映像で確認できるのはミサイルが着弾したり、ビルが炎上しているところなどで、かなり断片的である。

だがロシアとウクライナ政府が公表した死傷者数を眺めると、2日時点でロシア軍の死亡者は498人で、負傷者は1597人。ウクライナ軍側は死亡者が2870人以上で、負傷者は3700人超という数字であり、相当な数にのぼる。この中には民間人は含まれておらず、兵士だけで両軍合わせて数千人単位の死傷者がでている。ということは、かなり激しい市街戦が繰り広げられているということを意味する。

テレビやネットでは戦闘の様子は動画としてほとんど上がってきていない。というのもジャーナリストが「ドンパチ」の現場に足を踏み入れないかぎり、受け手側は「本当の戦闘」を散見できないわけで、ウクライナで現在進行中の戦争はわれわれが想像するよりもはるかに過酷で厳しいということだ。

戦争の悲惨さというものを伝えるために、そうした過激で辛辣な現場を市民に送りとどけることは極めて重要であると考えるが、それが叶わないのであれば、悲惨な現場に思いを馳せることも大切だと思っている。