練り込まれていたウクライナ侵攻

ロシアによるウクライナ侵攻が止まらない。すでに首都キエフへの軍事攻撃がはじまっているが、複数の情報から、ロシアは1年以上前からウクライナへの侵攻を計画していたことがわかってきた。

イギリスの王立防衛安全保障研究所(RUSI)は2月15日、「ウクライナ破壊の陰謀」という19頁の報告書を公表しており、今日ネットでダウンロードして読み通してみた。同報告書によると、ロシア側の究極的な狙いは軍事侵攻によって「キエフをロシアの支配下におくこと」であるという。

多くの人が「そうあってほしくない」と願っていると同時に、「ロシアであればそれが目的だろう」との思いがあったはずだ。だがはかない期待は裏切られ、このままではロシアはウクライナを制圧することになる。同報告書では、ロシアの最終的な動機は「イデオロギー的なもの」であると書くと同時に、プーチン大統領が支配を強めているベラルーシ同様、キエフも屈服させることであると結論づけている。

ロシアはウクライナの地方行政に広く精通しているといわれ、同国を掌握した場合、占領地の地方行政を運営していくうえで必要な人材の相関図の作成に重点を置いていることがわかっている。さらにロシア政府に敵対的な人物のリストさえあるという。

同報告書は両国の戦力比較から、キエフはすぐにでも包囲されると予想している。ロシアが総攻撃に踏み入れば、数日内に陥落するとの記述さえある。ただウクライナ国内からの抵抗が長期におよぶことになれば状況は緊迫してくる。欧米諸国がウクライナのバックにまわり、多方面から協力体制を築くことがなによりも重要になる。しかも迅速な行動がもとめられる。

しかし現時点では、まだ確定した未来図は誰も描けていない。