中国市場への変わらぬ想い

最新号の『ビジネスウィーク』誌に興味深い記事が出ていた。西側の金融機関は中国政府の規制の厳しさや新型コロナによるビジネスの閉塞性にもかかわらず、これまで以上に中国本土での投資を加速させたい意向であるという。

モルガン・スタンレーやゴールドマン・サックス・グループ、さらにJPモルガン・チェース、シティーグループなどは中国本土での金融業務の拡大を画策し、利益を増やしたいとの意向をもつことは以前から知られていた。世界最大の人口を抱える国である以上、ビジネスのやり方次第で大きな収益が見込めることは当たり前のことである。

ただ北京が西側企業の活動を取り締まってきたばかりか、米国内からは中国政府の安全保障政策への異論や人権問題での不適切さが指摘され、中国から手を引くようにとの声もでていた。それでもシティグループなどは今年、中国で先物取引を行う許可を取得予定で、中国国内で100名ほどの社員を採用するつもりだという。

ただこれまで、ビジネスの拡大を目指してきた西側企業が中国で損失を計上することは少なくなかった。だがここにきて、現地パートナーと長年ビジネスの関係を構築してきた企業などが新しいビジネス・ライセンスを取得したりして、成長を見込める段階になってきている。

JPモルガン・チェースのジェームズ・ダイモン会長兼CEOは、「中国は多くの顧客とJPモルガンにとって世界最大の機会の1つである」と述べている。語り尽くされてきた感のある中国市場だが、本当のビジネス機会は実はこれからなのかもしれない。