驚くことは何もない

「新型コロナウイルスの現在の状況で、党総裁選をやっている時間はない。コロナ対策に専念するということで総裁選には立候補しない」

菅氏は3日、こう述べて首相を辞めた。本当に「コロナ対策に専念する」ことが総理辞任の理由になると考えているのだろうか。これは辞める理由になっていない。というのも、一国のトップであれば総裁選をやりながら、コロナ対策をするくらいのことは当たり前にこなせなくてはいけないからだ。

無理やり理由付けをしたとしか思えないし、総裁選とコロナ対策を同時にこなせないとなれば、それは菅氏に首相としての能力がなかったということを自ら証明してしまったことになる。

当ブログではこれまでも菅氏への批判を記してきたが、残念ながら、この方ほど人望もなく、政治手腕も乏しく、惨めな政治家(首相)はいなかったのではないか。個人的にはやっと「辞意を表明した」との思いなので、「驚くことは何もない」というのが本音である。

ただこれで日本丸という船が沈没するわけではない。そこが大統領制と違うところで、自民党という船には他にも次期首相候補となる政治家たちが乗船している。菅氏が辞めたところで、まったく別の政治システムにとって代わられるわけではない。合議制のもとで、次の首相が選ばれる。

イギリスのように首相公選制が導入されているわけではないし、来たる衆院選で野党が自民党を追いやって、日本の政治を率先する新たな船の乗組員になることが確約されたわけではない。野党が本当に「自民丸」に拮抗するかたちで対抗したいのであれば、「野党丸」という船に力を結集すべきだろう。そうした政治風景をみたいが、そうはならないのがまた日本らしさなのかもしれない。