ある人の仕事の流儀

スタジオジブリのプロデューサー、鈴木敏夫氏(73)が朝日新聞のインタビューで話をした内容が、心に響いている。インタビュー記事はよく読むが、「なるほど・・・」と妙に納得させられた発言がいくつもあった。

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このインタビューは昨年末、角川書店から『ジブリの鈴木さんに聞いた仕事の名言』という書籍がベースになっていて、大きなプロジェクトをいくつも成功させてきた鈴木氏ならではの思いが散りばめられている。

「間違っても自己表現だとか、自分のこだわりに走っちゃいけない。いつも受け取る相手のことを考える」

「何かを言おう言おうと思っていると、人の話が聞けなくなる」

モノを「作る・創る」側にいる人たちは自分のオリジナリティーにこだわり、それをどう表現するかに力を入れる傾向がある。ある意味でそうした心持ちは必要だろうが、受け手側の気持ちが軽視されることにつながりがちだ。

少し飛躍はあるが、鈴木氏はこうも言う。

「ダビンチやミケランジェロは注文に応じて作品をつくっていた。そこに自分はなかったわけですから。(中略)大事なのは冷静な判断。自分を出そうとすると判断が狂うので、欲のないところに自分を置かなくてはいけないと思っています」

組織論についての言及もある。

「弱い人も組織の中には必要です。才能のある人ばかりで映画をつくるのは不可能です。数人の才能ある人と、誠実に(仕事を)こなしてくれる人の両方が必要で、組織の雰囲気としては善良で誠実な人たちが大勢を占める」

経験論から得た仕事の流儀がしっかり手元にあるという印象を受けた。