2020年の男女平等

CNNが昨日、80年代に起きたアメリカのニュースを特集していた。その中に興味深い事件があった。

3大ネットワークの系列局でニュース番組のアンカーを務めていた女性が降格させられたというのだ。世界を揺るがす大事件ではないが、クリスティン・クラフトさんという女性キャスターが番組を降ろされた理由が「40代にさしかかって歳を感じさせるし、もう魅力的ではない。男性に追従してもいない」というものだった。1981年のことである。

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テレビカメラの前に立つ女性は「若くて美しくあるべき」という暗黙の了解が守られていないというのだ。いや、暗黙の了解などではなく、その時はアメリカらしく、理由が彼女に伝えられている。

日本ではいまだに理由を告げられないまま、暗黙の了解によってさまざまな分野で姿を消す女性がいるかと思う。「日本社会にいるんだから、理由くらい察しろよ」といったところだろう。

なぜ事件と呼べるのか。ほぼ40年前のことだが、クラフトさんは黙っていなかった。はっきり理由を告げられたこともあり、テレビ局を訴えた。実際はテレビ局ではなくメトロメディアという制作会社を訴えるのだが、裁判で陪審員はクラフトさんに50万ドル(約5400万円)の損害賠償金を支払うべきと判断する。だが連邦裁判事は陪審員の評決に納得せず、再審を求める。

2度目の裁判でも陪審員たちはクラフトさんに味方して、会社側に50万ドルの支払いを命じ、今度は判事も認めた。だがメトロメディアが控訴する。結局、この裁判は最高裁までいき、最終的にクラフトさんの訴えは却下されてしまう。

今月18日、世界の男女平等ランキングというものが発表された。そこで日本は121位という結果で、惨憺たるものだった。順位は前回よりも下がっている。1位がアイスランド、2位ノルウェー、3位フィンランドという北欧が上位を独占する中、アメリカは53位という位置にいる。男女平等が叫ばれている国なのでもっと上位かと思いきや、意外にも低い順位である。

男女の差というのは肉体的な違いこそあるが、社会的地位は平等であるべきというより、平等でなくてはならず、アメリカのみならず日本のていたらくは嘆かわしい。すでに2020年である。女性の頑張りもそうだが、いかに男たちが女性を受け入れるかにかかっている。ここぞという時の判断はもちろん、日々のなにげない言動がことさら重要であることは言うまでもない。