安倍とトランプの共通点

「桜を見る会」の問題がいまだに尾を引いている。ホテルニューオータニでの前夜祭で首相夫妻が5000円を支払わなかったという問題から、招待者名簿の廃棄問題まで、首相側は政府内でつじつまを合わせて真実を語ろうとしない。

常識を働かせれば、招待者名簿はデータとして残しておいた方が今後のために役立つと誰しもが思う。印刷された文書はともかく、データであれば1万数千人であってもセーブしておくことは常識であり何の支障もないはずだ。

それを廃棄してしまった。野党から資料請求があったから廃棄したのではないと説明したまま安倍は当件を終わらせようとしている。政府内部に真実を知るものがきっといるはずで、内部告発をしてほしいが職を失うことになるので、自分の将来をかけてまで安倍を糾弾するガッツある公務員はでてこない。

ただ招待者名簿の問題以上に、実はニューオータニでの前夜祭での利益供与の方が重要で、公選法違反にあたる可能性が高い。しかし安倍は違法行為はなにもしていないという態度で、2日の参院本会議の答弁で「逃げ切った」と思いこんでいるようだ。

これはトランプがいま直面しているウクライナ疑惑に酷似している。トランプは同国大統領のゼレンスキーを脅迫、強要して民主党バイデンの周辺を調査させたことが関係者の証言ですでに明らかだが、トランプは弾劾調査(上院では弾劾裁判)で生き残るはずである。ウソをついても、違法行為をしても、絶大な権力者として命脈を保つのである。

トランプの場合、トランプに指名された大使が彼を裏切るかたちで議会証言をしたが、それでも事態がひっくり返ることはない。

これが先進国といわれる日米両国のいまの政治の姿である。(敬称略)