2020年米大統領選(23):圧勝の時代はもう来ない

またアメリカ大統領選の話で恐縮だが、来年の選挙でトランプはかなり善戦すると予想されるし、再選「してしまう」可能性もある。

アメリカ経済は決して悪くないのでトランプにとっては追い風で、最新の経済指標をみてもインフレ率や失業率は良好で、失業者が町にあふれるといった状況ではない。全米の有権者のほぼ半数が「あの」トランプを支援する勢力図は来年も変わらない。

前回選挙(2016年)の選挙結果を地図でご覧いただきたい。総投票数ではなく選挙人制度による州ごとの戦いなので、赤(共和党)がトランプの獲った州で、青(民主党)がヒラリーである。総得票数ではヒラリーの方が多かったが負けた。

ザックリした表現では「真ん中はほぼ赤」に染まり、トランプ支持がいかに広範であるかがわかる。もちろん細部に目を配ると、トランプが勝った州でも激戦になった所も多く、さらに性別や人種、年齢層によってもばらつきがある。

次に下の地図をご覧いただきたい。ほとんどが青で染まっている。これは1964年大統領選でリンドン・ジョンソンが勝った時の勢力図だ。ディープサウスの5州とアリゾナだけが共和党バリー・ゴールドウォーターの獲った州である。(敬称略)

ジョン・F・ケネディが暗殺されたあとの選挙で、民主党への期待が高かったこともあり、約1500万票もの差がついた。過去20年ほどの「南部・中西部はすべて保守」という固定観念が覆される勢力図であるが、逆に1984年のレーガン再選時では、ミネソタ州と首都ワシントンを除いて全米は真っ赤に染まった。

来年は16年選挙と同じような色合いになるため、僅差の戦いが再現されるはずだ。