縄文の美

上野の東京国立博物館で開催されている縄文展がもうすぐ終わる(9月2日まで)ので出かけてきた。

期待以上の展示で、満足感でいっぱいになった。展示物はもちろん、ライティングなどにも工夫が凝らされていて「いいね、いいね」を繰り返していた。

Jomon8.25.18

私は学生時代にマヤ文明を専門にした考古学者になろうと思っていた時期があったので、考古にはいまでも興味がある。今回の展示では、土器や土偶、装身具など200点以上が展示されていた。教科書にもでてくる遮光器土偶をはじめ、大型の土器もこれまでにないほどの点数がだされていた。

いくつか気づいたことがあった。あらためて縄文土器が作られた年代をみると、紀元前2000年から3000年という表示がある。エジプトでピラミッドが造られたのが紀元前2500年なので、時期がかさなる。

中米のマヤ文明でピラミッドが築かれたのは紀元後250年くらい、南米ペルーのインカ文明の興隆期は13世紀以降なので、紀元前2500年に縄文という文化を花開かせた日本人に誇りをもちさえした。

しかも土器や土偶が出土する場所は一カ所ではないのだ。北から北海道、青森、秋田、宮城、山形、群馬、栃木、埼玉、東京、山梨、長野あたりまで、広く分布している。しかも土器や土偶には共通するパターンがいくつも見られる。

すでに解明されていることかもしれないが、そこには中部地方から北日本にかけて統括された政治組織か文化規範があるように思えた。これまで発見された竪穴式住居の遺構から、村のような組織をつくって生活していたことがわかっているが、もう少し広範な社会文化圏があったのではないかとの疑問をもった。

学生時代もそうだったが、過去の遺物をみているとついつい熱くなってしまう。