マケインとの思い出

ジョン・マケインが亡くなった。過去20年以上、私は何度となく彼の演説を聞き、2000年大統領選では短い時間だったが話をする機会があった。

老練でありながら、けっして尽きないような活力を携えていた。話をするときは澄んだ瞳をこちらにむけて、眼球をつかまれるかのような迫力があった。

1967年にベトナム戦争に従軍したとき、パイロットだったマケインは撃ち落されて大ケガを負う。両手を骨折し、ベトナム兵に助けられるが満足な治療をしてもらえず、右手は生涯肩の高さよりも上にあげることができなかった。

1982年に連邦下院議員になり、87年からは上院議員として30年以上も再選しつづけた。共和党の議員でありながら、重要な社会政策では民主党主導の法案に賛成票を投じる人だった。トランプがオバマケアを廃止する法案の採決時も、トランプに反旗を翻した。

2000年の大統領選ではブッシュに敗れたが、ブッシュの任期がおわる2008年にまた大統領選に出馬。

Sen. John McCain, the Republican candidate for president in 2008, greets supporters at a rally in Prescott, Arizona, on the day before the general election. MUST CREDIT: Washington Post photo by Melina Mara

共和党の正式候補になったが、今度はオバマに大差をつけられて負けた。

しかし撃ち落されても諦めず、なんども這い上がってくるエネルギーには感服させられた。そして稀に見るほどの野心家だった。自身が思ったことは世界中を敵にまわしても貫き通すほどの強い信念の持ち主だった。

どれほど大統領になりたかったことか。トランプではなくマケインになってほしかったくらいだ。(敬称略)