弾丸スピーカー

やはり言っておくものである―。

何をかといえば、「大統領選をライフワークにしている」という主張である。それによって、どこからか私の仕事を垣間見てくれる人がいて、連絡をいただける。ありがたいことである。

放送メディアや活字メディアからの依頼だけでなく、講演の要請もある。

つい先日も新潟県長岡市の団体から講演の依頼を受けた。できるだけ依頼は断らないようにしているので、その日も(*^o^*)で出向くことにした。

講演は午後6時からだった。その日は締切原稿が1本あったので、午後2時までに終わらせて、支度をして東京駅に向かう。

先方から送られてきた新幹線の切符をみると、往復の電車がすでに指定されていた。午後3時40分発の上越新幹線「とき」である。1時間45分で長岡に着く。車内で講演用のパワーポイントの流れを2回、確認する。

長岡駅に着くと、ホームまで担当の方が迎えに来てくれていた。「長岡は山本五十六の出身地なのです」という話を聞きながら会場へ向かう。

打ち合わせもほどほどに講演会場に入ると、すでに聴きにきてくださった方が着席されていた。すぐに本番の時間がきた。

パワーポイントのスライドを替えながら、90分間しゃべり続ける。沈黙は許されない。ひたすらマシンガンのように撃ちまくる・・・そんな印象である。

大統領選について、自分で撮った写真も交えながら話をしたが、相変わらず笑いがとれない。「小さなクスッ」が2回あったか。

笑いが求められていないことは知っている。だが「ハッハッハ」が何重にも合わさった爆笑が会場いっぱいに広がる喜びもあじわってみたい。

以前、タモリがある番組でこう言っていた。

「普段、面白いことを言えない人が、スピーチで面白いことを言えるわけがない」

練り込んだ笑いと、瞬時にして得られる天性の笑いがあるだろうが、私はどちらも持ち合わせていない。

その日の私は、スピーカー(講演者)としてはまあまあだったかもしれないが、聴きにきていただいた方々を楽しませるという点では赤点だっただろう。

講演がおわると帰りの新幹線の時間が迫っていた。長岡は初めて訪れる都市だったが、何も観ず、名物料理も味わえず、また「とき」に乗って午後10時過ぎには東京にもどった。

気持ちいいくらいの弾丸スピーカー・・・しかも打ちのめされた感を携えての帰り道・・・嗚呼