手作りのロック

数日前、スカパーの番組(ニュースザップ)に出演した時、ミュージシャンのグローバーと共演した。

彼のやさしさあふれる語り口は、人を惹きつける。私より20歳も若いとは思えないくらいだ。CM中に雑談する時間があり、音楽の話で盛り上がった。

彼は過日(2月4日)他界したモーリス・ホワイトの話をした。名前をきいてもピンとこない方もいらっしゃるだろう。ホワイトというのは1970代に活躍したロックグループ「アース・ウィンド&ファイア」のボーカルである。

グローバーもたぶん記憶にない頃に全盛時代を迎えたバンドだが、プロのミュージシャンらしく、彼はホワイトの音楽も特徴もしっていた。

当時はまだコンピューターが音楽制作の現場に使われていない時代。レコーディングもそのままの音を拾う。

「いまでは考えられないことが起きていたんです。私はドラムを叩いていたのでわかったんですが、曲が進むにつれてペースが速くなるんです」

コンピューターでリズムを刻む時代である。曲の途中でリズムが速くなることなどほとんどないだろう。しかし、音楽は人間が聴くものである。

感情が高まり、体が揺れるにしたがい、リズムが速くなる方が自然である。

「堀田さん、ぜひ昔の音源で聴いてみてください」

自宅にもどり、もっていたはずのアース・ウィンド&ファイアのCDを探したが見当たらない。

しょうがないのでYoutubeで「September」を聴いてみたが、なんとなく速くなっているくらいしか感じられず、眼だけでなく聴力も落ちているのかと思ってフッとため息をつくのである。(敬称略)