次世代に向けて

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1年半の修復作業を終えて、いま東京上野の東京国立博物館で檜図屏風(ひのきずびょうぶ)が展示されている。安土桃山時代に描かれた作品(1590年)で、筆者は狩野永徳と言われている。

雨が降っていた火曜日の閉館直前にすべりこんで、作品を観た。襖として仕立てられていたものを、屏風に仕立て直してある。金箔が輝き、碧色と檜の茶色のコントラストが鮮烈である。

400年以上も前に描かれた作品とは思えないほどの仕上がりで、これも地道な修復作業があってのことだ。

過去400年のあいだに何回かの修復が行われているが、国宝指定されている作品を100年先の人たちに観てもらうために手を入れていく作業は貴重である。

少し大げさな言い方をすれば、日本人の遺産を将来につなぐということで、日本政府はこうした分野にもっと予算をさいていい。