ある本屋の終わり

東京、池袋にある本屋「リブロ」が6月末で閉店する。

私がもっとも頻繁に立ちよる本屋であり、もっとも好きな本屋なので、なくなるのはたいへん残念である。

2014年2月期決算は黒字だったというから赤字が理由ではなく、トーハンと日販の駆け引きのなかで、現在の居場所である西武百貨店から出なければいけなくなったらしい。

数年前、本を読むためにタブレットを購入したが、いつの間にか紙の本に逆戻りしていた。アメリカではもうハードカバーもペーパーバックも、売上では紙の本よりも電子の方が上である。

けれども、私はどうやら時代と逆行しているようだ。本屋のなかを歩き回ると、学生時代に感じた喜楽がよみがえる。

本を手にして目次を一瞥し、著者の経歴をみて、本文を少し読むという行為は本屋でしかできない。しかもかなり短時間で数十冊の本に目を配らせることができる。

池袋リブロは本のショールームといえるような店構えで入りやすかったし、本を手にとりやすかった。

ただ本屋はもっと知恵を絞れる気もしている。これまで考えも及ばなかった店内のレイアウトがあるはずだ。さらに店舗内で電子書籍の割安なダウンロードを提供することも可能だろう。

リブロは現在、他に店舗スペースを探しているらしいが、候補地探しは難航しているという。

その場から姿を消すということは、友を失うような寂しさがある。

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