「お疲れさま!」が好きなオバマ

「またやってくれました」

これが正直な気持ちである。何のことかと言うと、オバマが世界に送りだす大使をまたしても論功行賞で選んだのだ。

オバマは2012年選挙で、自分のために選挙資金をたくさん集めてくれた人物を何人も大使として起用している。駐日大使を務めるキャロライン・ケネディもその1人だ。

最近ではハンガリー大使にテレビ番組のプロデューサーをしているコリーン・ベルという女性を任命した。連邦上院は12月2日、52対42で「ベル大使」を承認。ベルはオバマのために200万ドル(約2億3000万円)を集めたと言われている。

さらに同日、連邦上院は50対43でロサンゼルスのコンサルティング会社のトップであるノア・マメットをアルゼンチン大使に承認。マメットは人生で1度もアルゼンチンに足を運んだことがないと素直に認めている。スペイン語もほとんどできないし、彼がアルゼンチンに深い思い入れがあるとの情報もない。それでも上院は2人を承認した。

オバマ政権下ではこれまで、大使の5割以上がこうした形で決められている。政治任用だ。ブッシュ・クリントン両政権時代にも少なからずあったが、政治任用は30%台にとどまっていた。けれども、オバマは「お疲れさま!」的な論功行賞で大使を決めている。

確かに大使に国務省の外交官を使う義務はない。国内外で多くの経験を積んできた財界人や政治家を起用して成功した例は少なくない。だが、個人的なコネでここまで大使を決めていいのか。「これからいろいろ勉強します」では相手国に対して失礼である。

ちなみに、アルゼンチン大使に決まったモメットがオバマのために集金した額は140万ドル(約1億6500万円)だという。

大使はカネで買えるのである。(敬称略)

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by the White House