「献金してください」

昨日、ドナルド・トランプから選挙資金を求めるメールが送られてきた(下記)。

これまで有権者から大々的に選挙資金を集めてこなかったトランプ。ヒラリーとの直接対決になった今、11月8日の投票日まで自己資金だけでは足らなくなってきたのだ。

5月末時点で、手持ちのキャッシュフローは130万ドル(約1億3500万円)である(連邦選挙管理委員会報告)。ちなみに、ヒラリーは同時期、約44億円の残金がある。

下に載せた英文のお願いを眺めると、私の名前(Yoshio)を記したあと、「 FIRST ONE」と書いてある。献金をお願いするのは「最初」ですという意味だ。

1ドルから2700ドル(約28万円)の間で献金してくださいとある。48時間以内に200万ドル(約2億円)を集金することを目標にしている。ちなみに2700ドルというのは、法的に米有権者が献金できる上限額である。

この動きは予備選中、「選挙資金は自分でまかなう」といい続けてきたトランプの主張から外れる。それだけ資金が乏しくなってきた証拠である。億万長者でありながら、実はほとんどの資産を不動産や含み資産で持っているため、現金は少ないとの見方がある。

秋にかけて、トランプはどう巻き返しを図るつもりなのか。ヒラリーとの「醜い戦い」はすでに始まっている。

 

Donald J Trump
Yoshio,

This is the first fundraising email I have ever sent on behalf of my campaign. That’s right. The FIRST ONE.

And, I’m going to help make it the most successful introductory fundraising email in modern political history by personally matching every dollar that comes in WITHIN THE NEXT 48 HOURS, up to $2 million!

Yoshio, this means any donation you make between $1 and $2,700 (the maximum allowable contribution) will be matched, dollar-for-dollar.

Help make history by giving one of the amounts below:

Even without this match, this initial effort would have been the most successful first fundraising email in history. I am certain of this. But let me tell you why I decided to match your donations.

The Democrats are desperate, and they’re throwing everything they have at me. They just keep failing and losing.

Now they’ve sent out a very nasty email attacking me, all to raise a measly $250,000. They even promise that a group of “all-star Democrats” will match every dollar raised.

They will say and do anything to elect Hillary Clinton, but I am standing in the way.

I’m fighting back against Crooked Hillary and her pathetic cronies, as well as the dishonest liberal media, and I need your help.

We can’t let her back into the White House ever again.

The bottom line – Crooked Hillary has been a DISASTER for our country, and we must win against her this fall.

Let’s make history again, and keep winning, by making this the most successful first fundraising email ever.

Double your impact by donating today.

Let’s show the liberals, the professional pundits, and the Washington establishment that this campaign IS NOT ABOUT ME. It’s a movement of hardworking, patriotic people who want to MAKE AMERICA GREAT AGAIN.

Best Wishes,

Donald J. Trump
Candidate for President of the United States

P.S. Help me make my first ever fundraising email the most successful fundraising email ever sent in the history of modern politics. Remember, I will PERSONALLY match your donation, but we must receive it WITHIN THE NEXT 48 HOURS.

イメチェン!

2週間ヒゲを剃らなかったら、こうなりました!?

yoshiohige

Photo by Masato Y.

写真アプリ「MSQRD」のおもしろ写真。一瞬でヒゲが生えました。

次の知事もダメな理由

舛添が辞任したあと、次の都知事を誰にするのか自民党や野党は悩んでいるという。

「誰にするのか」というニュアンスが新聞でもテレビでも、さらには政党内にも広がっている。知事を選ぶのは都民であって政党ではない。

政党が後押しすることで票が集まるのは間違いないが、まず「知事はお任せください」という諸政策に通じ、リーダーシップがあり、カリスマ性のある候補が現れなくてはいけない。ところが今の都知事選はまるで中学校の生徒会長選挙のように、「頼まれたから出馬します」的な後ろ向きな候補しか見当たらない。

桜井翔の父親の桜井俊は「器ではないと思っています」と出馬を否定した。だがあるニュース番組で元共同通信の後藤謙次は「首相がくどいたらわからない」という言い方をする。

やる気のない人間をくどいて都知事に仕立てあげるスタイルで、真の政治家が生まれるとは思えない。心構えも、知事になるための準備期間も足りないからだ。こういう人を説き伏せてはいけないし、絶対に政治家になってはいけない。

それは首相の選出にも言えることだ。日本では辞任した首相の後任がすぐに決まる。翌日には指名されていたりする。恐ろしいことである。

アメリカ大統領選は長すぎるのがむしろ問題だが、少なくとも1年以上の期間をかけてトップを選ぶ。トランプのような暴言を吐く人間が共和党代表になることもあるが、経歴から資質、体力、指導力など、あらゆる面が試される。

市長や州知事も同じで、長期間の選挙戦を勝ち抜いた候補だけに最後のスポットライトが当たるシステムが確立している。日本も法を改めて、時間をかけてリーダーを選ぶルールにしないといけない。

現在、都知事の下には3人の副知事がおり、都知事不在の期間は彼らが代行を務めればいいだけの話である。首相も同じで、安倍に不測の事態が生じたときには今の副総理である麻生太郎が代行を務め、じっくりと時間をかけて首相を選ぶべきである。

心の準備もできてない人間に、短期間で都知事になれとか首相になれと言うこと自体が無謀である。また同じ過ちを繰り返して、任期なかばに辞任という結末を迎えかねない。

個人的には、次の都知事はビジネスの世界で成功した統率力と管理能力のある人になってほしいと考える。(敬称略)

全米史上最悪の銃乱射事件

whikipedia6.15.16

by Wikipedia

米フロリダ州オーランドで6月12日に起きたテロ事件は、米国が抱える3つの憂慮の根の深さを改めて示すことになった。解決不能と思えるほどの深みを見せられた思いさえある。

3つの憂慮とは、テロリズムとの果てなき戦いであり、次が銃規制、3つ目が性的少数者(LGBT)の処遇である。

100人以上の死傷者を出した米史上最悪の銃乱射事件は、3つの問題とどう向かい合うかを根本的に問うたことになった。大統領選の争点として新たに浮上してもいる(テロ主戦場ついに米国内へ、拡散招く3つの憂い)。

幻想の平等主義

先日、『日本語が亡びるとき』(水村美苗)という本を読んでいると、思わず線をひきたくなる一文にでくわした。

「平等主義は、さまざまなところで、私に現実を見る眼を閉じさせた」

いきなり、こんなことを書いても「なんのことだろう」と思われるかもしれない。前後の脈絡を少し説明しなくてはいけない。

著者の水村はこの本で小林秀雄賞を受賞していて、久しぶりに出会った秀抜なエッセイである。日本文学だけでなく話はさまざまな分野におよんでいる。

その中で、水村は日本の戦後教育が民主主義という名のもとに、子どもたちに平等主義を教え込んだと書いている。古い言葉であるが、「職業に貴賤(きせん)なし」という、職業に身分の高い低いはないという考え方を教え続けたというのだ。

平等主義が悪いわけはない。理念的には正しい。職業によって偉い人やそうでない人がいるという考え方をしてはいけないことは誰もが知ることだ。

だが水村は社会的経験を積んだのち、平等主義を真に受けるような教育によって「職業に貴賤がある事実に眼を閉じさせる」と書くのだ。子どもたちに社会は平等なのだと教えることはいいが、実際の社会に真の平等はない。

まだ実現していないと書くべきかどうかは疑問の残るところで、人間が人間である以上、真の平等社会は訪れないかもしれない。不平等社会のなかで平等主義を唱えることに対する矛盾があるのだ。

水村はさらに書く。

「この世には限られた公平さしかない。善人は報われず、優れた文学も日の目を見ずに終わる」

これが現実の世界である。大人は意識的に、または無意識的に知覚しているが、それを再認識するとガクンと肩を落とすような寂寥感しかおとずれないので、私は心のなかで跳ね返すことしている。(敬称略)