「コロナ失業者」はいったいどれほどか:新型コロナ(19)

新型コロナウイルスの感染拡大が起因して失業した人はいったどれほどなのか。

3月以降、飲食業などでは売上が昨年比で9割減になったという話が伝わる。同時に、解雇や雇い止めが進んでいるとの話も耳にする。

厚生労働省は22日、コロナによって「解雇や雇い止めをされたり、その見通しがあったりする働き手が、21日時点で1万835人になった」と発表した。2月4日の集計開始以降、初めて1万人を超えたという。

私は耳を疑った。100万人を超えていてもおかしくないと思っているので、1万人という数はどういった統計数字を使っているのか不思議でしょうがない。

実は、総務省統計局が完全失業者数を発表していて、4月28日時点で176万人である。これは3月分までの数字なので、4月、5月を入れるとずっと多くなるはずだ。コロナとは関係のない失業者数とも受け取れるが、それにしてもコロナが起因した失業者も1万ではきかないはずだ。

名古屋にあるシンクタンク「中部圏社会経済研究所」が20日に発表したコロナによる全国の失業者試算では、最悪で301.5万人が失職する可能性があるとしている。

またアメリカとの比較で恐縮だが、コロナ発生後に失業保険を申請したアメリカ人は最新の数字で3650万人である。日米では労働人口が違うし、コロナによる感染者・死亡者の数が違うので一概には言えないが、それでも厚労省の1万人という数字は少なすぎる。

故意に国民を安心させようとしているのか、それとも正確な数字を集計できていないのか、私には解せない。

いまだ拡大の一途:新型コロナ(18)

新型コロナウイルスの新規感染者が「日本では」減少傾向にある。今日、近畿3府県の緊急事態宣言が解除された。東京を含めた5都道県も今月中に解除される見込みだ。

ただ油断は禁物だ。第二波の到来の可能性があるし、世界に眼をむけると、実は悲観的にならざるを得ない。国内ニュースを見ていると収束の流れにあるので安心しがちだが、昨日(20日)の世界での新規感染者数は過去最高を記録した。1日だけで10万6000人である。

当欄ではアメリカの感染者の話を書いてきた。すでに感染者総数は155万を超えたし、一昨日の感染者数も今でも2万人超である。日本は他国と比較すると、明らかに国民一人一人のウイルス防御の意識が高いのだろうと思う。

安倍政権に対する批判はいろいろあるが、市民レベルではマクス着用の徹底はもちろん、他者からの視線を感じることで自らを糺すという行為が無意識のうちに行われている。日本社会にあるピアプレッシャー(同調圧力)がいい方向に機能しているのだろうと思う。

ところがアメリカでは他者の目よりもあくまで自身に重点が置かれ、いまでもマスク着用は徹底されていない。トランプ大統領がマスクをしないのが好例であり、「他人がどう思おうが構わない」との意識が維持される。時にはこうした心持ちが斬新なアイデアの具現化につながったりするが、今回は「統一」が重要のはずである。

全世界の感染者数はいま500万を超えた。日本ではコロナは収まりつつあるが、世界では「まだまだこれから」であり、緊急事態宣言が解除された(される)からといって、気をゆるめるべきではない。

いまだに減らない米感染者数:新型コロナ(17)

日本全国で新型コロナウイルスの新規感染者数が減ってきている。16日、全国の感染者は57人、東京都では11人だった。落ち着いてきてはいるが、国民一人一人が警戒を緩めるべきではないし、もしかしたら自分が無症候感染者として他者に感染させる可能性があると考えてしかるべきである。

上のグラフはアメリカの新型コロナの感染者数の推移を示したものだ。以前から当欄で掲載させていただいているもので、アメリカでも少しずつ減少してきているが、15日の感染者数はまだ2万5000を超えている。

日本では感染者の累計でさえ1万6000台なので、いかにアメリカの感染者が多いかがよくわかる。この数字を見る限り、アメリカが規制緩和をする段階ではないと思われるが、トランプ大統領はすでに「わが国は次のステージに」と述べて、緩和の方向に顔を向けている。

だが米国立アレルギー感染症研究所のアンソニー・ファウチ所長は規制緩和には慎重で、科学者らしい冷静な見解を述べる。

「市や州が早い時期に緩和に向けてのチェックポイントを飛び越えてしまうと、そのあとの反動に効果的に対応できないことがある。そうなると感染爆発につながりかねない」

だがトランプ氏はそれが気に入らない。「彼の返事には正直、驚いている。私にとっては、、、受け入れられない答えだ」

失業者が急増し、経済が低迷していることは誰もが分かっている。だが「魔の感染症」によって、より多くの人が亡くなっていいわけでもない。規制継続か開放か、という明確な2者択一ではなく、知恵を絞って半歩ずつ前へ進んでいくしかないだろうと思う。

愛あればこそ

Photo from BHR Instagram

イギリス、ロンドン郊外にあるBHR病院の屋外。

2人の病院スタッフが集中治療室にいる新型コロナウイルスの患者さんを外に連れだした。患者さんが「陽の光を浴びたい」と懇願したかどうかはわからない。

ただ、少しでもお日さまの下で過ごしてもらおうという、スタッフの愛が伝わる写真である。

安倍首相に課された適応力:新型コロナ(16)

4日夜、安倍首相が記者会見を行い、緊急事態宣言を5月末まで延長すると発表した。延期は多くの方が想定していたとおりで、いま自粛を解いたら感染者が増えるだろうことは誰もが思い描ける近未来だった。

ただ、飲食業を含む中小の事業所にとって、これ以上の自粛=休業は倒産・撤退に追い込まれることをも意味している。政府や民間の補助金・助成金がどこまで救済してくれるかはケースバイケースであり、コロナが引き起こしたもう一つの大きな問題がここにある。

またコロナは日本を含めた世界中の国々に、適応力という課題を与えた。国家が、そして個人がどれだけ新しい状況に適応していけるのか。昨日、安倍氏と専門家会議のメンバーは個別に会見をひらいた。特に専門家会議は日本のPCR検査数の少なさを自省しながら、6つの理由を挙げて言い訳をした。

今年1月、武漢でのコロナ蔓延のニュースが流れた頃から、日本でも感染が広がることは十分に予測できたはずだ。2月にはダイヤモンド・プリンセス号の乗船客のコロナ感染が問題になった。この時点で、政府は民間企業に大量のPRC検査を依頼できたはずだが動かなかった。

安倍氏は4月になって1日2万件という数字をだしたが、今もって実現できていない。国立感染症研究所が検査体制を整備できるまで待つとしたが、5月になってもその数字には届いていない。安倍氏の適応力のなさ、つまり政治力のなさを証明したともいえる。専門家会議のメンバーは研究者であり医師なので、政治力を期待できるわけがない。

日本のPRC検査総数はここまで約18万でしかない。WHO(世界保健機関)、CDC(米疾病予防管理センター)、ECDC(欧州疾病予防管理センター)の情報をもとに世界各国の検査数を眺めると、日本の18万に対し、アメリカは世界で最も多い720万超に達している。アメリカの感染者・死亡者の人数を考えるとまったく褒められないが、検査をするという体制はすぐに構築して適応力の高さをみせた。

続いてロシアが約410万件、ドイツ約254万、イタリア約215万、スペイン約247万、さらにイギリスの約120万と、ヨーロッパ諸国が100万件以上の検査を実施している。どの国も感染者総数は10万人を超えている。

日本でも受託検査事業をおこなう大手企業があり、その気になれば1日10万件以上は十分に可能だという。日本のコロナ致死率が低いことは間違いないが、検査の絶対数を増やすことで、より多くの国民に検査を受けてもらえる。それは何よりも、いち早く感染者を特定できるメリットがある。

いまからでも遅くない。安倍氏には本当の政治力を発揮してもらいたい。