全米レベルの反トランプデモ

トランプ大統領(以下トランプ)に対する抗議行動が米時間28日、全米3300カ所以上で800万人以上が参加して行われた。ロイター通信とイソプス通信社の共同調査では、トランプの支持率は第2期政権誕生以来最低の36%で、市民の不満が反トランプデモという形で表面化した。

「3300カ所、、、800万人」という数字は一般市民の多くがトランプに対して強い不満を抱いているということで、いくら抗議行動に慣れている米国人であっても、「No Kings(王様はいらない)」「Arrest Them(奴らを逮捕しろ)」などと書かれたプラカードを作って町に出る行動は、忿懣が一定レベルを超えたことを意味する。

特にイランへの攻撃や移民の取り締まり、さらに物価上昇に対する不満が目立つ。生活費問題の対応への支持は25%、経済政策への支持は29%にとどまっており、支持率が低迷している。さらに、王様気取りのトランプに「No Kings」と書かれたプラカードを示し、反トランプの機運がさななる高まりを見せいてる。

ただ、大統領を辞めさせるハードルは高い。辞めさせるには連邦議会が動く必要があり、下院の過半数(218人)の議員が弾劾訴追に賛成し、さらに上院で行われる弾劾裁判で3分の2以上(67人)の議員が有罪と認めないと大統領職を奪えない。歴史上、米大統領が下院で弾劾訴追されたことは3度あるが(アンドリュー・ジョンソン(1868年)、ビル・クリントン(1998年)、ドナルド・トランプ(2019年と2021年))、いずれも上院の裁判で無罪となり、罷免(解任)は免れている。

最高裁がトランプにノー

やりたい放題ーー。

この言葉こそが今のトランプ大統領(以下トランプ)の行状を表す適語なのだろうと思う。大統領は独裁者ではないが、トランプの言動を見聞きする限りにおいて、独裁者的な要素が溢れている。それが「トランプらしさ」と言ってしまえばそれまでだが、少なくとも米国は民主国家であり、国家運営がすべてトランプ流で押し通されてはいけない。

米時間20日、米最高裁がそんなトランプに「ノー」を突きつけた。

少なくとも三権分立のなかでも司法は機能していることを示した形となった。トランプは「約70カ国・地域に10%の追加関税を課す」と表明していたが、それに対し中小企業などが原告となって提訴。一審、二審ともに違法判決がでており、今回最高裁もトランプが違法に関税を課したと判断したことで、最終的にトランプに「ノー」が突きつけられた。

トランプは敗訴しても別の形で法的アプローチを試みてくると思われるが、今回最高裁がトランプにノーを突きつけたということは、少なくとも司法分野は機能しているということであり、徹底的にトランプと戦って頂きたいと思う。

トランプ帝国主義(2)

1月6日の当欄『トランプ帝国主義(1)』で、トランプ大統領(以下:トランプ)のグリーンランドの野望について記した。トランプは先月、「グリーンランドの海岸線を見渡せば、至る所にロシアと中国の船舶がいる。我々はそこを手に入れる必要がある」と述べて、グリーンランドを購入する意向を明らかにした。

複数の国際アナリストは米国がグリーンランドに侵攻した場合、「デンマークは領土を防衛できないだろう」と指摘している。米国は同地にピトフィク宇宙基地を所有しており、すでに米兵が駐留していることから、容易にグリーンランドを占領できるとみている。

ただ今月9日、グリーンランド議会を構成する5つの政党の党首たちが、「我々は米国人になりたいとは思わない。同時に、デンマーク人になりたいとも思わない。ただグリーンランド人でいたいだけだ」と発言し、自分たちの未来は自分たちで決めるという意思を表している。これは考えてみれば当たり前のことで、自分たちが住んでいる土地を誰からも干渉されず、今後も同じ場所に住み続けたいと思うことはしごく自然なことである。

今週、マルコ・ルビオ国務長官がデンマーク政府の担当者と同問題について協議する予定で、この会談でトランプ政権が何を求めているかが明らかになるはずだが、答えは最初から「グリーンランドを買わせろ」ということなのだろうと思う。

トランプ帝国主義(1)

昨年末から、トランプ大統領(以下トランプ)の「グリーンランドを購入したい」という思惑が表面化している。実はトランプがグリーンランドを手に入れたいという構想を表したのは第一期トランプ政権の最中で、長年の夢にようやく光があたり始めたといったところだ。もちろん、簡単に実現できるわけもなく、すべてがトランプの思い通りいくわけではない。

グリーンランドはデンマークの自治領だが、トランプは「戦略上、きわめて重要」と捉えており、なんとしても米国領にしたいとの大願を宿す。弾道ミサイル防衛システムの拠点としての要所であるばかりか、鉱物資源が豊富であることもその理由である。

トランプは先月、「グリーンランドの海岸線を見渡せば、至る所にロシアと中国の船舶がいる。我々はそこを手に入れる必要がある」と述べており、軍事拠点として何としても手に入れておきたい場所なのだ。ただ、すでに他国の自治領になっている土地である。「ここがほしいから譲ってください」と言って自分のモノにできるほど国際関係は単純ではない。それでは子どもの駄々と変わらない。

外交には強引さが必要になる時もあるが、デンマークだけでなく欧州のほとんどの国が米国によるグリーンランド併合に反対している状況で、強引に我欲を押しとおすことで米国が今後、どれほど嫌われることになるか。これでは19世紀後半から20世紀初頭にみられた帝国主義と何ら違いがない。人類は過去の過ちから学んで次につなげなくてはいけない。

「トランプ帝国主義」にはノーを突きつけろ!

トランプ支持率、30%代に

トランプ大統領が昨年11月の大統領選挙で返り咲いてから1年が過ぎた。ただ「トランプ圧勝」というわけではなく、選挙直前のトランプ氏と民主党カマラ・ハリス候補の支持率は47%対45%で、若干トランプ氏が上回ったに過ぎなかった。

大統領就任後も支持率はジリ貧のままで、今年4月にはCNNの世論調査で41%にまで落ち込んだ。就任100日目の支持率としては、ドワイト・アイゼンハワー大統領以降の大統領の中では最低である。そして今、最新の世論調査では39%にまで下がり、その不人気ぶりがより顕著になってきている。

支持率というのは、調査会社によって数字が少しずつ違うが、NPR/PBS Newsが行った調査では今のトランプ氏の支持率は36%という惨憺たるものである。逆に、これまで最も支持率が良かった大統領は2001年9月の同時多発テロ直後のジョージ・W・ブッシュ氏の91%。

ここまでトランプ氏の支持率が伸び悩む最大の理由は経済で、政権の経済運営に対する支持率は36%にとどまり、大統領本人の支持率と重なる。ただ、支持率がいくら下がろうが、4年間の任期はまっとうできるので、トランプ本人からはそれほど慌てた様子は見受けられない。米国経済が沈滞すると、世界的な足かせになることが多いので、今後トランプ氏には経済への起爆剤を打ち込んでほしいものである。