トランプの暴挙

ドナルド・トランプ前大統領は3日、CNNに対して4億7500万ドル(約690億円)という途方もない額の損害賠償訴訟を起こした。トランプ氏は訴状の中で、「(CNNは)政治的に(トランプ氏を)敗北させる目的で中傷している。2024年の大統領選に出馬させないようにするため、誹謗・中傷キャンペーンを行い、過去数カ月でそれはエスカレートしている」と糾弾した。

メディアが批判的な目で社会の事象や人物を斬るのはいつの時代でも行われてきたことである。確かにCNNはリベラル派のテレビ局として反トランプの論調を張っているが、それだからといって690億円もの損害賠償請求をおこなう図太さと利己的行為には呆れてしまう。

メディアが大統領に対して厳しい意見を述べ、批判的な論調を張るのはアメリカ文化の伝統であり、それに目くじらを立てるだけでなく、損害賠償請求を起こすということは、そこから逆に利益を得ようという目論見があるとしか思えない。

ワシントン・ポスト紙は今回の訴訟で、トランプ氏をこう糾弾している。

「他のトランプ大統領の訴訟と同様、この訴訟も中身がない、もっとはっきり言えばゴミのようなものだ」

独立記念日

7月4日はアメリカの独立記念日。しばらくアメリカには行っていませんが、懐かしい首都ワシントンの写真をつけます。

まだコロナ禍は終焉したわけではありませんが、市内ではパレードがあり、夜には花火が打ち上がるようです。

再来、17年ゼミ

アメリカの東部諸州に17年ごとに現れるセミがいる。今年がまさにその年にあたり、目の赤いセミが億単位(兆単位か?)で地中から現れる。

私が最初に遭遇したのは1987年で、まだ首都ワシントンで会社員をしていた時のことだ。当時は一軒家の地下に住んでいて、出社するために庭にでると、高さ3メートルほどの小さな木に200匹くらいのセミが、重なり合うようにとまっていたのを覚えている。

photo from twitter

あまりの多さに目を疑い、少しばかりの恐怖心を抱いたことを思いだした。住宅街の木々や郊外の森はセミで溢れかえった。2004年もまだワシントンにいたので2回目の17年ゼミ体験をし、いまはニュースで見聞きするだけとなり、懐かしさがこみ上げている。

次の駐日米大使の素顔

バイデン大統領は次の駐日アメリカ大使として、前シカゴ市長だったラーム・エマニュエル氏(61)を指名することとなった。

実は、私はエマニュエル氏のことを30年ほど前から知っており、何度も取材したことがある(ある男の勝利)。最初は1992年、彼がビル・クリントン氏の選挙事務所で選挙資金を集めていた時にであった。その時は政治家志望であるとはまったく知らず、単なるボランティアだと考えていた。

クリントン政権誕生後、ホワイトハウスで補佐官を務めている時にも顔を合わせたが「大物感」はなかった。だがその後、連邦下院議員に当選して6年間議員を務め、オバマ政権が誕生すると初代の首席補佐官に就任するのだ。そして次のステップとしてシカゴ市長になった。極めて上昇志向が強い人物である。

筆者撮影

そしてこれから駐日米大使になり、少なくとも数年は日本に滞在することになりそうだ。エマニュエル氏と以前、話をしているときに感じたのは、最終的にトップ(大統領)にまで上り詰めたいとの宿望を抱いているということである。それが難しい挑戦であっても、チャンスをうかがっているのだろうと思う。

お手並み拝見である。